私の場所
「我の糧となり永遠の命を得よ。」
「アニス。アニス。起きておくれ、僕の大切な人。その美しい瞳で早く僕を見ておくれ。もうひと時も我慢は出来ない。その目を開けておくれ。僕の心が愛のおもいで潰されないうちに」
私…
私を呼ぶ声…?
聞きなれない声。
でも その優しい緩やかな音楽のように流れる言葉が、ゆっくりとそっと私の目を開けさせる。見慣れない緑色に輝く目が、明るい日に反射するかのような輝きを放っている。吸い込まれてしまいそうな…そのような目を持った人が、私を覗き込んでいる。
「アニス。おはよう。僕の可愛い小鳥、愛する人。気分はどうだい。」
!!!!
「はひっゃ!
だっ!だぇ?!?!」
動きがとれない。金縛り?いや、そもそもここはどこ?
よく見れば、景色の違う場所。
花々に囲まれた庭に美しい芝生。
私は家で、いや、家にいたはず。夜も更けて明日に向かって寝たはず。
身体が、動きがっ!見れば私の服装は普段よりも重みのある長いベージュよりも白いドレス。動きがとれないのはこれ?!
着慣れない服装に身動きがとれなかった。
「アニス??どうしたんだい?!」
やっと声が出るようになった私は
言葉を出さずにはいられなかった
「あなただれ?!ここはどこ?私は何?!?!」
それでも、訳のわからない頭の中だった。
でも 私の前にいる人はとても綺麗な男性でという事は落ち着いて見れた。
流れるようなサラサラの金髪が心地よい温度の風になびいている。
まっすぐに私を見つめる目は、エメラルドに輝く美しい緑色の瞳。驚いた中に不安もみえるような表情でその人は私を見ていた。
「アニス?…」
「…私はアニスという人ではありません。あの、ここはどこですか?」
私は不安の濃くなった表情を浮かべる彼に、やっと、はっきりと話すことができた。
ベージュのドレスは、ふわりと起き上がる風に微かになびき、その様子が、ロングスカートよりも美しい。
彼の、私を見る表情がふと変わった。
それが微笑みに変わったとき
「何か、夢を見たんだね。君の世界はこっちだよ、アニス。では、そろそろ城の中へ戻ろう。」
そう言うと彼は、私をそっとすくいあげるかのように、両手ですっと抱き上げた。
「きゃっ!」
お姫様抱っこは初めてだった。けれど不思議と私自身抵抗をしようという気はおきなかった。抱き上げられてからの、彼の身体の温もりを感じた時から妙に安心して心地よかったからだ。
そして気持ちよく香るこの人の香りが、私を余計に安心させた。何で私、こんなにも安心しているのだろうか。
こんな知らない違う世界にいるのに、抱き上げられた途端から、どうでもいいくらいな気持ちで、身を預けたくなっていた。それはとても不思議だった。
大きなお城の中の廊下を少し歩き、左に曲がってから3つ目の部屋の扉を開けた。
中に入るとそれは広いお部屋で、立派なベッド。
DVDで見た、眠りの森の美女が寝ていたお部屋に似ている。
うっとりほーっと部屋に驚く私を、彼はそっとベッドの上に置くと、彼は私の顔を見るまでも無く、いきなり首筋に顔を埋めてきた。
「あっ」
微かに首筋に感じる声なのか吐息なのか、生暖かい。
そして、服の上から身体のラインを這う様に彼の左手は動く。
そして首筋に感じた生暖かさは首筋から胸元にうつる。胸元に埋まるキスをしながら、両手で胸元のボタンをはずし始めた。
「ぁはぁ〜」
彼の優しく力強い手や身体は私の身動きを封じていた。 彼の吐く息が、ボタンを外すごとに徐々に胸元にながれてくる。
「ん〜っ はぁぁ〜」
なんだかとても意識が遠のく感じだった。
こんな事は初めて。
でも 不思議と逆らえない身体に身を預けるしかなかった私は、そのまま意識が遠のくまま彼の呼吸を感じていた。




