永遠の愛と共に
今日もまた、庭に咲く花々は、あの庭師のおかげでとても美しく咲いている。
ウィリアムがいなくなってからも、彼はそのまま酒を持って、庭仕事に来てくれている。
私は安心して庭先でいつものように本を読む。
本の真ん中には到達していないと思われるあたりにしおりが挟んである。
そこから開き、1行、また1行と読んでいると、風が吹いてくる。
その風はまるでウィリアムのように優しく感じて、彼が今でも私のそばで包んでくれているような気がする。
「アニス。調子はどうだい?」
暖かい風にのり、ほのかな薔薇の花の匂いを運ぶように、そんな美しい匂いに包まれたシャンがやって来ました。
「ええ、とてもいい気分よ」
私は彼のおかげで、今こうしていられる。
目覚めた後から、彼はずっと私のそばを離れることなく、ヴァンパイアとしての生き方、能力、全てにおいて、細かく教えてくれた。
「ねぇ、シャン様。私ね、思うの。ウィリアムはもしかしたら、こうなる未来が見えていたんじゃないかしらって。シャン様に私を預けて、今の私がいる。そして、こうして貴方は訪れてくれる。ウィリアムはいけないわね。シャン様の優しさに最後まで甘えていたなんて。」
「アニス。君は美しい。彼が愛したのはよく分かる。彼がこの世界に戻るまで何年になるか、想像もつかないが、君と共に私も待つつもりだ。私の唯一の友でもあるしな。」
明るく笑う彼の声がとても心地よかった。
彼は品もあり、彼こそ美しく素晴らしい男性である。
シャンには、私という負担を背負わせてしまうことになったけれど、ウィリアムは友として、彼に愛情を注ぎ、また、そこから私にと…。
彼は、死んでしまってからも、こうして私を守るすべを、きちんと用意してくれていた。
「貴方はいつも明るくて素晴らしい人ねシャン様。私は本当に心強いわ。ありがとう」
私の左肩に手を乗せ佇むシャンの顔を、斜め上に見ながら、共通の絆で結ばれた者同士、熱く見つめあった。
戸棚の中に、赤いルビーが2つ並んで置いてある。
金色の糸で編まれ、縁取られた白いシルクのクッションの上に、それぞれルビーは置かれている。
神の前では誓えない私達。
宝石となってしまった2人に、せめてもの婚儀をと、考えた。
赤くも、また赤紫色にも、妖艶に光り輝く宝石。
この宝石をいつの日か、2人で眺められる日が来ることを、私は待つのである。
耳を澄まして…こうして目を瞑ると声が聞こえてくるでしょう。
「アニス…。僕の愛しい人。愛しています。…あいしています…あいしています」




