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18話「親友であり悪友」

「ふぅ……悪いな、來香」

「い、いえ」


客室に敷いた布団に放り投げるように友人?を寝かせた凰牙さんは肩を回しながらこちらに謝ってくる。


「えっと、今日飲みに行ってた知り合いってあの人のことですか?」

「あぁ。相談事があるとかなんとかで断れなくてな。了承しないとあいつはずっと言い続ける」


ったく仕事中にふざけるなと舌打ちをする凰牙さんの様子を見ていると、あの人には遠慮がないんだなと思った。


「仲……いいん……いいんですか?」


仲良いんですね、と言いかけたが先ほどの凰牙さんの対応があまりにも雑かったので結局疑問系になってしまった。


「まぁ……悪くはないかもな。学生時代からの悪友みたいな腐れ縁みたいなやつだ」

「そうなんですね……」


正直、凰牙さんにそういう人がいるのは意外だった。


「……あれ?学生時代?」

「ん?あぁ……あいつは学生時代に学部が同じだった俺に絡んできてな。あれでも仕事はできるから気づけば二人で会社を立ち上げていた」

「……やっぱり仲良いんじゃないですか」

「よくはない」


どうしてもあの人との仲は認めたくないらしい、眉間に薄い皺が寄っていた。


「おいおうがぁ!」


客室の方から呂律の回っていない声が飛んでくる。


「っち……あいつは俺が黙らしとくから先寝てろ。もう遅い」

「あ、はい、わかりました……えっと、おやすみなさい」

「あぁ、おやすみ」


流石にそろそろ限界だったので、お言葉に甘えて寝室へと向かう。

寝る準備をしていた最中だったので、すぐに床に入ることができた。

明日はあの人の分もお弁当作ったほうがいいかな、と考えながら私は重たい瞼を静かに閉じた。














「……」


來香が寝室に入って行く音がする。

その音を聞きながら、俺は騒いでいる酔っぱらいの元へと向かう。


「……」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「いやぁ!凰牙と飲みとか何年振りだ?」

「さぁな」

「お前もうちょっと乗ってくれてもよくね?俺何回も誘ってると思うんだけど」

「なぜ俺がわざわざお前の飲みに付き合わなきゃいけないんだ」


届いたグラスを口に運びながら、適当に返事をする。


「ちぇー」


智也もビールに口をつけ、しばらく沈黙が流れた。


「……それで?相談ってなんなんだ」


智也は珍しくすぐには答えなかった。


「……」

「……」

「……なぁ凰牙。嫌なら答えなくていい。無理に聞くつもりもない」


いつものおちゃらけたバカみたいな顔ではなく、いつになく真剣な顔つきで智也はそう言った。


「何がだ。さっさと言え」

「……じゃあ、言うわ」






















「……お前さ、なんか危ないことしてるだろ」






「……は?」


智也は真っ直ぐに俺の目を見る。


「最近のお前はなんか変だ。率直に言えば、怪しい」

「……何が言いたい」

「何が言いたい、かぁ……別になんもねぇよ」


冷や汗が頬を伝ったが、予想外の返答ばかりで正直何をどう言っていいのかもわからない。


「……まぁ、お前が危ないことに突っ込んでるんじゃねぇかって、ただの勘だったけど……その様子じゃ、ビンゴだったみたいだな」

「……」

「……俺は別に止めるつもりはねぇよ。お前の行動を否定するつもりもない。何をやっているかなんてものも見当がつかない。」

「……」

「お前は、お前のやりたい様にやれ。でも……」


智也は持っていたグラスを置いて一息ついた。


「……死ぬなよ」



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「……はぁ」

「おーがー!」

「っち、うるさい黙れ。そしてひっつくな」


(……本当に、訳のわからん奴だ……)














(えーっと……今日は何にしようかな)


「ってぇ……」


朝ご飯とお弁当の準備をしていると、昨日の人が客室から頭を押さえながら出てくる。


「あ、おはようございます。大丈夫ですか?」

「……」


声に気づいて私と目が合う。

と、数秒間固まってしまった。


「……えっと?」

「あ!?凰牙の彼j」

「彼女じゃない」


私を指さして何かを思い出したように叫んだところで凰牙さんに後ろから殴られた。


「いっでぇ!?」

「ったく……朝っぱらからうるさい。お前は朝くらい静かにできないのか、智也」

「いやいやいやいやお前同棲してたのかよ!」

「同居だ」


頭が痛いとばかりに額を押さえている凰牙さん。

だが、強く突き放さないところを見ると、仲が悪い訳ではなさそうだった。


「おはようございます、凰牙さん」

「あぁ、おはよう來香」

「おーい俺を無視しないでいただけませんかねー」

「え、あ、す、すみません…」

「謝らなくていいぞ來香」

「酷くね!?あ、俺山崎智也です凰牙の秘書やってますしごできイケメンです」

「え、えっと鈴音來香です?」


唐突の自己紹介に慌てて返す。


「お前のどこがしごできイケメンだ。できるのは仕事だけだろ」

「そこは否定しないんだ?!」

「事実を否定してどうする」

「ツンデレだなぁ凰牙君h…ごめんごめんごめんごめん!!冗談だって!!」


いつもと違う様子の凰牙さんに思わず吹き出してしまう。


「……來香?」

「いえ……すみません、なんかおかしくて」

「はぁ……?」

「気にしないでください。あ、朝ごはんできてるので山崎さんもよかったらどうぞ」

「え?まじ!?いいの?うわめちゃくちゃ嬉しい!ありがとね來香ちゃん!」


凰牙さんはそんな様子の山崎さんに何か言いたげな顔をしていたが、呆れたように息を吐いて顔を洗いに洗面所へ向かっていった。


「……あ、そうだ」


凰牙さんが見えなくなったタイミングで、山崎さんがわざとらしく何かを思い出した様に声を出した。


「……來香ちゃん、違ってたらごめんなんだけどさ」

「……?はい」

「……もしかして、凰牙の……あーなんて言ったらいいのかな、凰牙の……」


そして、私はその後に続く彼の言葉に息を呑んだ。
































『凰牙の秘密、知ってる?』

ここまで読んでいただきありがとうございます。

春休みが明けたので更新を再開していこうと思います。

休み前と同じく予定通り更新されないことも多々あるかと思いますが、気長に待っていただけると幸いです。

ブクマなどしてくださっている方もありがとうございます!いつも励みになっています!

それではまた次回も読んでいただけると嬉しいです。

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