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17話「社長秘書」

「……あれ?これ……」


異変に気づいたのは凰牙さんが家を出て数十分経った頃だった。

机の上に、凰牙さんのお弁当の包みが残されていたのである。


「凰牙さん、お弁当忘れてる……」


珍しいな、と思いつつ私はすぐに凰牙さんに連絡をとった。


『凰牙さん、お弁当忘れてます!気づくの遅れてすみません!もう会社ですか……?』


するとすぐに既読がつき、返信が返ってくる。


『悪い、完全に忘れてた。すでに会社だ』


(やっぱり……でもどうしよう、お昼ないと困るわよね……)


まぁ凰牙さんのことだから多分どこかに食べに行くだろう。

ならこのお弁当は私がお昼に食べようかな、と考えていると凰牙さんから続けてメッセージが届く。


『時間なかったら大丈夫だが届けてもらうことってできるか?』









「こ……ここ……?」


凰牙さんから送られてきた住所に向かうと、とてつもなく大きなビルが聳え立っていた。


「えっと……確か、窓口で凰牙さんの名前を出せばよかったのよね……」


そーっと自動扉に近づくと、扉は容赦なく開いてしまう。

明らか商談相手とかそういうものではない私は、一歩踏み入れた瞬間にあちらこちらから軽く視線が飛んでくるのを感じる。


「あ、あの……」

「何か御用でしょうか?」

「あ、はい。その、矢木凰牙さんの忘れ物を届けにきたのですが……」

「……失礼ですが、どちら様でしょうか?」


(す、すごく怪しまれている……)


考えてもみれば社長である凰牙さんを訪れてきた謎の一般人なんて怪しいに決まっている。

けれど、自分のことを説明する手立ても私には持ち合わせていなかった。


(ど、同居人……っていうのも怪しい……?でも恋人とかそういうのもまた違うし……)


「……お客様?」

「あ、え、その、」

「來香」


どうしようかとテンパっていると、ふと聞き慣れた落ち着いた低音が聞こえてくる。


「お、凰牙さん……!」

「社長?!」

「あー悪いな、受付に伝え忘れていた。この人は怪しい奴じゃない、俺の同居人だ」

「そ、そうでしたか……お客様、申し訳ありませんでした」


凰牙さんから説明を受けた受付の人は慌てて私に頭を下げる。


「い、いえ!怪しいのは事実なので……あ、凰牙さんこれ……」

「ん?あぁ助かった。ここまでわざわざありがとうな」


差し出したお弁当を受け取った凰牙さんは、また私の頭に軽く手をのせてお礼を言う。


(……なんか最近子供扱いされている気がする……)


「で、では私はこれで!お仕事頑張ってください!」


だんだん人の視線が集まってきて恥ずかしくなってきてしまった私は、スッと凰牙さんの手を心なしか避けるように受付の人と凰牙さんにお辞儀をして立ち去った。













「おい凰牙〜!見たぞ〜!」

「社長だ。何をだ」

「お前のか・の・じょ!弁当持ってきてもらってたじゃねぇか。今会社はその噂で持ちきりだぞ?今まで女性に一ミリも靡かなかった矢木社長が可愛い女の子に弁当持ってきてもらってた〜ってさ」

「彼女じゃない」


めんどくさいやつが来た、とわざとらしく大きいため息をつく。


「な、あの子彼女じゃないってんなら俺がもらっていい?」

「ふざけるな、山崎」

「ツレねぇな〜、智也って呼べよいつもみたいに」

「めんどくせぇ彼女みたいなこと言うな。仕事中だ」

「へいへい」


秘書であるこの山崎智也(やまざきともや)は大学の同級生で、共にこの会社を立ち上げた人間でもある。

こんなテンションだが、これでも仕事は誰よりもできるため、その点については助かっているのだが……


「それにしても我らが社長の女の好みはあんな子だったか〜」

「いいから黙れ黙らねぇなら今から殴る」

「うっわ暴力はんた〜い!」


……とにかくうざい、めんどくさい。


「……あ、なぁ凰牙、今日飲み行かね?久々にさ」

「勝手に行ってろ」

「えー、いいじゃん。……相談したいこともあるしさ」

「……はぁ、今日だけだぞ」

「よっしゃ!」








「……そろそろ寝ようかなぁ」


夕方、知り合いと飲んでくるから晩御飯はいらないという旨が凰牙さんから送られて来た。

本当は起きて待っていようかと思ったけれど、流石にそろそろ眠くなってきてしまった。


「また前みたいに無理して起きてて迷惑になりたくないし……」


そう思い寝る支度をしていると、チャイムが鳴った。


(この時間に……一体誰……?)


恐る恐るインターホンモニターを覗くと、そこには誰かを担いだ凰牙さんがいた。

慌てて扉を開けに行くと、疲れ切ったように凰牙さんが礼を言う。


「お、お帰りなさい凰牙さん」

「あぁただいま。悪いな來香、助かった。こいつを抱えたままだと扉が開けられなくてな」

「い、いえ……それよりこの人は?」

「あー……まぁユウジンだ」

「おいおーが!なんれそこぼーでよむ!おりぇとおまえのなからろ!しんゆーといえ!」

「うるせぇ酔っ払い黙っとけ」

「……えっと、とりあえず入ってください」


ここまで読んでくださってありがとうございます。

自分から定期更新と言いましたが、おそらくあまり守れそうにありません……申し訳ありません……

ただ次の日までには間に合うようにするので、もし更新がなかったら次の日の18時に更新されると思って置いてください、すみません。

それでは次回もまた読んでいただけると嬉しいです!

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