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魔物探偵事務所~白衣の死神~  作者: 星野翔


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第7章 白衣の死神、再誕

第一幕:魔晶と奇跡

工房の中には、かすかな燈火が揺らめいていた。


ディアンナは震える指先で、最後の魔力ネジを慎重に、クラウドの左眼窩の縁にある金属フレームへと締め込む。

微かな歯車の噛み合う音と共に――そこに嵌め込まれた「魔晶の眼」が、突如として深みのある透明な微光を放ち始めた。


「クラウドさん……感覚はどうですか? 見えますか……?」


ディアンナは息をのんだ。

緊張のあまり全身をこわばらせ、その瞳には期待と不安が複雑に入り混じっている。


クラウドは、ゆっくりと両目を開いた。


その瞬間。

かつて漆黒の空洞だった左眼の視界の中で、深く覆っていた闇が一瞬にして引き裂かれた!


ぼやけていた視界が極限まで鮮明かつ鋭利に広がっただけではない。

彼が己の掌を掲げた時、皮膚の下を脈打つ血管の流動、さらには空気中に糸のようにたゆたう微細な遊離魔力粒子までもが、はっきりとその目に映し出されたのだ!


「こ、これは……あり得ない……!」


クラウドの瞳孔が猛然と収縮し、思わず感嘆の声が漏れる。


「完璧だ……! 掌の中で巡る魔力の流れまで、すべてが直接この目に見えるぞ……!」


第二幕:烏爪の履と長剣

「それから、これもありますっ!」


ディアンナは額の汗を袖で拭い、ひまわりのような眩い笑顔を咲かせた。


クラウドは作業台に両手を突いて力強く立ち上がると、暗金色の金属と魔力パイプで構成された特製義肢――『烏爪の履(からすづめのくつ)』へと、その左脚を滑り込ませた。


『カチャッ――オォンッ!』


義肢が彼の神経経絡と寸分の狂いもなく完全に接続される。

クラウドが前へと一歩を踏み出してみると、予想していたような機械的な硬さや重さは微塵もない。むしろ、しなやかな生体バネのように地面を跳ね返し、驚くほど自在に、自分の肉体の一部のように動いた!


彼は傍らの兵器ラックから一振りの重厚な長剣を引き抜き、力強く空を切る。

鋭烈極まりない剣閃が描かれた。


『ヒュオッ――!!』


長剣が空気を引き裂き、刺すような金属音を轟かせる。

柄をしっかりと握りしめ、足元と左眼から伝わる全く新しい圧倒的な感官に浸りながら、クラウドは全身を激しい震撼に包み込まれていた。


「凄すぎる……! 下手な昔の目や脚よりも、はるかにしなやかで思い通りに動く……! 本当にありがとう、ディアンナ!」


第三幕:漆黒の密書

ディアンナが、自分の努力が認められた嬉しさに甘い笑みをこぼした、その瞬間。


窓の外から、刺すような冷たい夜風が吹き抜けた。


『ガァァァ――ッ!!』


耳を突く不吉な烏の鳴き声が、工房の平穏を一刀両断に切り裂く。

クラウドの契約使徒である「魔鴉(まあ)」が窓ガラスを突き破って飛来し、上空を荒々しく旋回したのち、血のごとき深紅の紅蝋で封印された一封の密書を、正確にクラウドの手元へと落とした。


クラウドの眼光が、即座に凍りつく。

彼は片手で封筒を引き裂き、紙面に走るおぞましい文字に目を走らせた。

その刹那――植え付けられたばかりの「魔晶の眼」が激しく震え、彼の顔色は一瞬にして蒼白へと変わる。


「まずい……ガブリエルとキンリオンに、絶体絶命の危機が迫っている……!」


二人は、かつて死生を共にした大切な戦友であり、彼の残された数少ない絆だった。

彼らが今まさに死地へと足を踏み入れようとしている今、一刻の猶予もない。――今すぐ発たねばならない!


第四幕:鴉狩の大鎌と怒濤の疾走

再び血塗られた死地へと赴こうとするクラウドの姿を目にしながら。

ディアンナは、市井の娘のように泣き叫んで彼を引き留めるような真似はしなかった。


彼女は、この男の魂に刻まれた責任と正義の重みを誰よりも理解していた。

――何より、彼女自身がその信念によって救われた命なのだから。仲間のために剣を抜く時のクラウドの胸にある、揺るぎない決意を、彼女は深く知っていた。


ディアンナは向きを変えると、作業台の端から、分厚い黒布に包まれた歪な形状の大型兵器を両手で抱え上げた。

彼女はそれを優しく、そして力強くクラウドの前へと差し出す。その瞳には、揺るぎない信頼と温もりが宿っていた。


「これを持っていってください……! クラウドさんのために作った、特別な武器です。早く……仲間を助けに行ってあげてください!」


クラウドは片手でそれを受け取る。

巻きつけられた黒布を乱暴に払うと――。


優美にして覇威に満ちたシルエット。幽藍の冷気を放つ巨大な刃と、その表面にびっしりと刻まれた複雑怪奇な錬金ルーンを纏った重型大鎌――『鴉狩の大鎌(からすがりのだしかま)』が、重々しくその姿を現した!


鎌の柄を強く握りしめ、武器の芯から伝わる細やかな愛と守護の温もりに胸を熱くしながら、クラウドは愛おしそうにディアンナを見つめた。


「感謝する……! ディアンナ、行ってくる。必ず戻る!」


言い捨てるやいなや。

クラウドは『鴉狩の大鎌』を背中にしっかりと背負い、工房を飛び出すと、庭先で待機していた一頭の漆黒の駿馬へと跳び乗った!


『ヒヒヒィィィン――ッ!!』


戦馬が天を仰いで高らかにいななき、重い試練を経て新生を果たした「白衣の死神」クラウドは、力強く馬鞭を振るう。


一筋の漆黒の狂風と化し。

深遠なる夜の闇が包み込む危機の地へと、彼は全速力で奔馳していくのだった……!

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