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灰色と紋なしの少年  作者: 北田シヲン


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21話

仮想空想OP

水曜日のカンパネラ 『シャルロッテ』

 前の通りから鳥居を二つ潜り、正面に見えてきた社に頭を下げる。先ほどの伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)の話が夢じゃなかったのなら、今、水晶に触れれば、きっと、加護が現れるはず…


 期待を胸に、帰路に着く。

元来た道を戻りながら、裏手にある鳥居の前に着く。


 なぜか―――胸を締め付けられるような、ここから先に行くのを身体が本能的に嫌がっているような、何とも言い難い嫌悪感が、襲ってくる。


 祖父母と母は特に何も感じていないようで、僕の方を見ることなく、スタスタと歩きながら、鳥居を越えて、先へ先へと歩いていく。


 特に異常は見受けられない。だけどなんだ…この気持ち悪さ。口から無理やり手を突っ込まれて、内臓を鷲掴みにされているような…


 冷や汗が止まらない。暑くはない。だけど、額は脂汗にまみれ、背中は中の服まで汗でぐっしょり。時折吹く風が、とても冷たく感じる。


 …だけど、行くしかない。

これがきっと、伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)が言っていた―――


〝帰り道には気をつけよ。もし誰かに呼び止められても、鳥居を出るまでは振り返るな。何があろうと、誰に呼びかけられようと、決して振り返るな〟


 先ほどの言葉が脳裏に浮かぶ。


 大丈夫…大丈夫。振り返らなければいいんだ。何が起こっても、どんなことがあっても、振り返らずに鳥居を抜ければいいんだ。


 すぅー…ふぅー。

一度大きく深呼吸をして、気合を入れる。


 鳥居の周りには誰もいない。

先ほどまで聞こえていた雑踏の音も、今は聞こえない。


 意を決して、鳥居の中へ。その一歩を踏み出す。

月・木 更新

30話完結

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