2話
仮想空想OP
水曜日のカンパネラ 『シャルロッテ』
水晶玉には、触れた者の魔力の色:魔色と神の加護を示す紋様が映し出される。
映し出された魔色によって、適性のある魔法が分かる。
赤色であれば、火。
青色であれば、水。
黄色であれば、雷。
だが、灰色だけは、該当する魔法が存在しない。
そして、紋様とは、天にまします神々の寵愛を受けた者にだけ映し出される証。多種多様な紋様の形から、加護神を判別することが出来る。
魔色:赤+金槌の紋様であれば、火の扱いに長け、鍛治の神の寵愛を受けているため、将来の仕事先の第一候補は鍛治職人になるだろう。
鍛治の神は手先が器用なため、作った武器や防具を売って生計を立てるのも良し。自分が作った武具で冒険者になり一攫千金を狙うも良し。
その人が生まれながらに持つ才能が、世の中に埋もれてしまわないように、その可能性という芽を、神が見出す。
そして、紋なしというのは、神の寵愛を受けられなかった状態をいう。要は、才能なしの凡夫だ。
神の加護の有無で、同じ魔色であっても性能は段違いに異なる。毎年、1人か2人は紋なしの判定が出る。
―――灰色+紋なしは、今世紀初であった。
この世界の親は、紋なしと判った時点で、大半は子を捨てる。長男であろうと家督を取り上げ、孤児院へと預けるのが一般的だ。
貴族階級ともなれば、なお一層、その傾向は強い。
紋なしでその扱いなのだから、灰色+紋なしなどもってのほかだろう。凡そ、人として扱われることはないだろう。
そんなシャルロッテの親も、貴族。
しかし、その風習を、シャルロッテの母は許さず、認めず、子どもを最後まで深く愛した。
―――それから14年後、シャルロッテが亡くなった。
原因は、突発性の魔力暴発。
灰色+紋なしは、身に貯まる魔力を消費する方法がなく、成長するとともに増えていく魔力が徐々に体を蝕んでいき、やがて、死に至る。その為、短命である。
シャルロッテが20歳になる5日前。それは突然やって来た。
その日、両親は5日後に迫る成人式の準備をしていた。日が落ち始めた夕方頃、屋敷内で勤める執事が、青ざめた顔で、2人の元を訪ねてきた。執事の口から、シャルロッテが倒れたことを告げられる。
体内で溜まりに溜まった魔力が、パンパンに膨らんだ風船のように大きくなり、そして、限界を迎え、弾けた。シャルロッテは倒れ込み、そのまま、意識を失った。




