1話
仮想空想OP
水曜日のカンパネラ 『シャルロッテ』
「これより、大樹式を執り行う!」
大聖堂の中、内陣に立つ神父が声を張り上げる。
パイプオルガンの荘厳な音が聖堂内を満たし、スタンドガラスから極彩色の光が差し込む。
「天にまします我らの父、母よ。今ここに集まった幼子たちへ祝福と加護を与えたまへ…」
神父は首にかけてある十字架を両手で優しく包みこみ、神へと祈りを捧げる。
今日この日、大陸中の今年5歳になる子どもたちが、首都に集められた。
〝大樹式〟と呼ばれるその行事は、最も神に近い場所とされる大聖堂で執り行われる。大聖堂は、首都の真ん中の一際高い山の上にある、大きな一本の木の切り株の上に建てられた教会である。
はるか昔、世界を包み込むほど大きな木がそこにあった、という伝承が残る。どういった経緯でそうなったのかは分からないが、現代では切り株だけが残っており、その切り株の大きさは、伝承もあながち嘘ではないと思わせるほどの説得力があった。
そんな物理的に、天に最も近い場所で〝大樹式〟が執り行われる。
男児は白のタキシード、女児は白のドレスで統一され、椅子に座りながら、修道女に呼ばれるのをただじっと待つ。
「―――シャルロッテ・ラインバッハ。前へ」
「はい!」
元気よく返事をする男児。
金髪・青い両眼のシャルロッテは、緊張しつつ、祭壇の前へと進む。
祭壇には、紫紺の座布団に乗った水晶玉が置かれている。自分の頭ほどの大きな水晶に、くもりやくすみは一切ない。覗き込めば、吸い込まれそうなほどに透き通っている。
「手を水晶の上へ」
修道女の指示を受け、シャルロッテは素直に、右手を水晶の上へ乗せる。
小さな点滅を3回。
水晶の中に、色と紋様が浮かび上がる。
「―――う、嘘だ…」
その結果に、シャルロッテの顔は引き攣り、顔色はみるみる、青白くなっていく。後方の保護者席に座る母に視線を
「シャルロッテ・ラインバッハ。
―――――其方を、灰色紋なしと認定する」




