14話
仮想空想OP
水曜日のカンパネラ 『シャルロッテ』
伊勢神宮の参拝が終わり、おかげ横丁でゆったりした観光時間を過ごす。ここ数年、常にクマがあって疲れた様子しか見てなかった母も、とても楽しそうに笑っている。
母にとって、この場所は懐かしい場所であり、子どもの頃に来たあの頃と変わった部分と変わらない部分が混在する街なのだろう。
ひとしきり観光した後、最後に赤福をみんなで食べて、祖父の車へと戻る。そして、後部座席に積んであった水晶玉を母が取り出した。
「さあ…シャルちゃん。手を、かざしてくれる?」
母いわく、こちらの世界に来る前に父の(王家の)伝手で水晶玉を借りてきたらしい。大樹式で見た水晶玉より2回りほど小さく、同じサイズの座布団が大きく見える。
固唾を飲みながら、小さく頷く。
あの日の、大樹式のことが頭をよぎる。
また、灰色紋なしだったら…
心臓の音が妙に煩く聞こえる。
おでこから汗が垂れて、全身からも冷や汗が止まらない。汗で背中に服が張り付く。
喉が渇いて、呼吸がうまく出来ない。
でも、やらなきゃ。手を出して、加護を授かったのか確認しないと。
軽く深呼吸をして、手を水晶玉の上へとかざす。
3回の小さな点滅の後、水晶玉が映し出したのは―――無慈悲にも、灰色紋なしだった。
そこで僕は、気を失った。
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