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世界と、セカイ  作者: チャンカパーナ橋本
セカイと、世界。の全話分
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7/34

第7話

「だ、だいじょうぶ? 圭太?」

「……ん?」


 視界の先にあるものは、セカイの不安そうな表情と、灰色の曇り空だった。落ちてくる雨粒に、思わず目を瞑る。


「よかった、目、覚ました」

「……」


 ぼーっとした頭の中、状況を整理する。……そうだ、僕は。


「いきなり叫びながら圭太、倒れちゃって、ワタシ、びっくりして……」


 そういってセカイが鼻をすすった。雨で顔が濡れる中、左目から一滴の涙が頬を伝わるのがわかる。


「……ごめん。ちょっと見えてきたのが、その、嫌なものだったから」


 覗き穴の向こうに見えたものは、酷くおどろおどろしいものだった。それは、確かに非現実的で、安い悪夢のようで、いま見たら叫びはしないであろうものだったけど、その時の僕にはやけにリアルに見えて……つまり、すごく恐かった。


「ごめん、ホントにゴメン。私には、すっごく綺麗な景色が見えたの。明るくて、キラキラしている天国みたいな景色。だから、圭太にも見てほしくて」

「うん、もう落ち着いてきたから。平気だよ」

「でも、ホントに、ホントに、圭太苦しそうだったから、ごめんね。ホントにごめん」


 セカイは僕のために、いま泣いてくれた。それが嬉しくて、同時にすごく苦しかった。


「うん、もう平気だから」


 笑える気分ではなかった。だけど、僕は今できる精一杯の笑顔をセカイに向けて、肩に手を添える。


「……それにしても、さすがに寒いや。セカイ、悪いけどもう帰らない?」


 雨で冷えた地面から背中を離して、立ち上がった。


「うん、帰ろう」


 そういってセカイは僕に背中を差し出した。


「圭太、おぶろうか?」


 その姿に、思わず僕は笑ってしまう。


「はは、流石ににそこまでじゃないよ。気遣ってくれて、ありがとう」

「……さっきからありがとうばっかり。辛い時は、辛いっていっていいんだよ?」


 セカイの目はすごく優しかった。そんなことを言われるとは思ってなくて、僕は少し驚いてしまう。

 だけど、セカイ。僕はホントに、心から有り難いんだ。


「僕のことをそんなに気にかけてくれるのは、セカイだけだからね」

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