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世界と、セカイ  作者: チャンカパーナ橋本
セカイと、世界。の全話分
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32/34

第32話

「圭太! 圭太!」

「加賀くん! 加賀君!」

 目を開けると、霞む僕の眼前には母と河野さんの、目を赤くした表情があった。


「…………っつ!」

「加賀君! ……よかった」

 なんだ、ここ? 僕は、どうなって?

 母が僕に抱きつき、河野さんが僕のシーツの上にうつぶせて泣く。


「……」

 状況が飲みこめないまま、僕は視界に入った右腕を見た。包帯でぐるぐる巻きにされている。そして、それに脳が気づいたかのように、じわじわと腕が痛み出してくる。


「つっ……」

 そこでようやく、数珠繋ぎで今までの記憶が掘り返されてきた。

 暗闇、セカイとの会話、セカイの意思、時系列毎に、リプレイされていく。


 ――また、今度ね。


 ……なぜだ。涙ぐみながら言っていたその言葉が、僕には笑って言っているように思えた。

 扉越しの会話だったんだ。セカイが最後に笑っていたかなんて、僕にはわかるわけがない。



 でも、きっと笑っていたんだろうな。

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