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第32話
「圭太! 圭太!」
「加賀くん! 加賀君!」
目を開けると、霞む僕の眼前には母と河野さんの、目を赤くした表情があった。
「…………っつ!」
「加賀君! ……よかった」
なんだ、ここ? 僕は、どうなって?
母が僕に抱きつき、河野さんが僕のシーツの上にうつぶせて泣く。
「……」
状況が飲みこめないまま、僕は視界に入った右腕を見た。包帯でぐるぐる巻きにされている。そして、それに脳が気づいたかのように、じわじわと腕が痛み出してくる。
「つっ……」
そこでようやく、数珠繋ぎで今までの記憶が掘り返されてきた。
暗闇、セカイとの会話、セカイの意思、時系列毎に、リプレイされていく。
――また、今度ね。
……なぜだ。涙ぐみながら言っていたその言葉が、僕には笑って言っているように思えた。
扉越しの会話だったんだ。セカイが最後に笑っていたかなんて、僕にはわかるわけがない。
でも、きっと笑っていたんだろうな。




