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世界と、セカイ  作者: チャンカパーナ橋本
セカイと、世界。の全話分
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28/34

第28話

「……彼だよね、先日相談してきた子」

「……はい」


 以前、加賀君のことを相談したスクールカウンセラーの満田さんは指を押さえながら、私にそう聞いた。


「コピーが取りたくて職員室に行ってたんだ。……すまない」


 申し訳なさそうに満田さんは目を伏せた。


「……いえ」


 私は加賀君が降りていった階段の方から目を離せないでいた。


「何で、君は逃げなかったんだい」


 私の脚は、未だに恐怖で震えていた。


「……聞いてあげなきゃ、いけない気がして」


 その言葉に満田さんは少し驚いたような表情をしていた。


「……君はカウンセラーに向いているかもしれない」

「……」


 ――正論で何もかもが、解決すると、思わないでくれよ。

 ……私は段階を間違えた。まず、私は加賀くんを受け入れてあげなきゃいけなかったんだ。


「……彼は精神的に追い込まれている。寄り添ってあげれる人が必要だ。……君はあんなことがあってもまだ、彼に寄り添って、あげれるかい」


 ……その問いに、迷うことはなかった。


「はい」


 返事をすると、満田さんは頬を上げた。


「うん。彼も頼もしいと思うよ」


 ――信頼してください。

 あの言葉はまだ折れていないと、私はただ信じていたい。


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