表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/88

とどめの一撃

ゾンビダラボッチを追って、俺たちは走る。


走るスピードは、やはり半人半馬のギルバートの方が速い。


「その足では遅い! 乗って! アーチロビン!!」


「ありがとう!」


聖騎士ギルバートの背に乗って、俺たちはシャーリーを握ったまま、砲台の方へ向かうゾンビダラボッチを追う。


「ぎゃあぁぁぁぁーあぁぁぁ!!」


その時、急に悲鳴が響き渡った。


よく見ると、ゾンビダラボッチの手に握られたシャーリーの全身が、ゾンビのような肌の色に変わっていくのが見える。


「ゾンビ化させられてるよ!!」


聖騎士ギルバートは、スピードを上げて並走すると、槍を構えて気を込め始めた。


聖騎士の槍は聖なる力を宿す。


「我らが神よ、この槍に力を宿らせ、悪きものを滅ぼしたまえ!」


聖騎士ギルバートは、助走をつけて槍をゾンビダラボッチに放つ。


ドォォォン!!


光を纏った槍はまっすぐ飛んで、シャーリーを掴んでいる手を打ち砕いた。


シャーリーはそのまま落ちていったが、柔らかい光が彼女を受け止めて、ゆっくり運んでいく。


フィオか? それともティト?


いや、それより。


砕かれた手を瞬く間に再生させて、ゾンビダラボッチは俺たちを睨む。


こっちに気をよせられるか?


ドドーン!!


そこへまた大砲が飛んできて、ゾンビダラボッチはまた砲台を目指して歩き始めてしまった。


「仕方ない!! スピードを上げるよ、アーチロビン! 奴を追い越して、先に進もう!」


「ああ!」


聖騎士ギルバートの俊足で、ゾンビダラボッチを追い越して、砲台を目指す。


「アーチロビン、見えてきた!! あそこに砲台がある!!」


聖騎士ギルバートが叫んで、指を差す方向に砲台が見えてきた。


街の端にある外壁が砲台になっていたのか。

どおりで、遠距離から撃っていると思った。


「やめろー! 撃つなぁ!!」


俺は砲台の砲手に向かって、叫ぶ。

兵士たちは驚いたように俺たちを見た。


「そこを退け!! 街を守らねばならんのだ!!」


司令官らしき兵士が、身を乗り出すようにして手を振る。


俺はギルバートの背から飛び下りると、彼らに大声で呼びかけた。


「逆効果だ! 奴には攻撃が効かない! 結界の準備が整うまで、控えてくれ! 俺が止める!!」


「何!?」


「頼む!!」


「……」


「ガァァァァァァァ!!」


ゾンビダラボッチが雄叫びをあげ、城壁に向かって、口を開いたまま突進してくる。


口の中には光が溢れ、高熱のビームを吐き出すつもりのようだ。


全体攻撃だ。俺も射程範囲内に入る!


「総員、構えー!!」


それを見た司令官は、再び砲撃を開始しようとした。


「動くな!!」


俺は後ろを見ずに叫んだ。

頼む、何もしないでくれ!!


ピタリ。


ゾンビダラボッチの攻撃が止まる。

攻撃抑止の再発動だ。


後ろの兵士たちも、驚きと感嘆の声をあげていた。


「おお……!」


「い、一体なぜ?」


攻撃範囲内に俺がいれば、大丈夫。


ゾンビダラボッチ、そのまま俺を見てろ!!

時間稼ぎだ!!


「グルルル……ググ!!」


その時、急にゾンビダラボッチが苦しみ出す。


なんだ!?


何かに吸い込まれるように、ゾンビダラボッチの体が引っ張られ始める。


まさか、大聖殿の神器が元に戻されて、結界内に押し戻されそうになっているのか?


なら、早く……早く!!


「ゴガァァァ!!」


ゾンビダラボッチはもがきながら、大聖殿の方を振り向いた。


あそこにあるものが原因だと、わかっているんだ!!


ゾンビダラボッチは、吸われる力に抵抗しながら、大聖殿へと戻り始める。


ボロボロと、土の塊のような体が崩れて吸い上げられていくのに、奴は歩みを止めない。


俺はもう一度弓矢を射たけれど、大聖殿の方にゾンビダラボッチの関心が集中していた。


「ダメだ! こっちを向かない!!」


俺は慌てて聖騎士ギルバートと一緒に、大聖殿へと急いだ。


ギュイイイイイ……。


独特な音がして、ゾンビダラボッチは残された体で大きな口を開き、魔力を溜めていった。


光線を放つ気だ!!


「させるか!! 熱線、解放!!」


俺の全身がカッと熱くなり、顔を上げた目から熱線が放射されて、ゾンビダラボッチの胸を貫く。


大帝神龍王の攻撃の1つ、高熱ビームだ。


やったか!?


───あ!!


奴の体は胸から穴が広がって、空の彼方へ吸い込まれていった。

けれど、吐き出された光線は、まっすぐ大聖殿に向かっていく。


「フィオ!! ティト!!」


「ケルヴィン殿下あ!!」


ドガガガ!!


シールドと、ゾンビダラボッチの光線がぶつかり合う衝撃。


凄まじい力だ。


くそ! みんな無事でいてくれ!!


「あぁ……! シールドが……割れる!」


聖騎士ギルバートが、上空に張られたシールドを見て緊迫した声を漏らした。


見上げると、シールドにヒビが入っていき、今にも割れそうになっている。


みんなが……フィオが!!


パキッ!!


その時、何かが弾けるような音がした。

シールドがついに壊れた? いや、違う。


大聖殿の方から、九本の大きな柱が天に向かってそびえていく。


柱じゃない、あれは……尻尾!?


やがて、大きくて白い塊が膨れ上がっていき、純白で蜃気楼のように透けた姿が、はっきり見えた。


白狐!!


九本の尻尾をなびかせた、巨大な四本足の白狐が、大聖殿の方に現れる。


あれは、まさか……フィオ!?


白狐の全身が光ると、シールドはたちまち回復していった。


その間に、俺たちは元の通りに戻る。


シュオォォォォ……!!


シールドに力負けをした光線は、虚しく消滅していった。


巨大な白狐は、それを見届けると、シールド共に消えていく。


危なかった。

シールドがなかったら、今頃この辺り一帯は消し飛んでいたかもしれない。


フィオは、無事か!?

なんだか、胸騒ぎがする。


「アーチロビン!こっちじゃ!!」


魔道士ティトが、奥まった通りで必死に手招きしていた。

なんだ、どうしたんだ!?


俺は魔道士ティトと、ケルヴィン殿下が待つ場所へと急いだ。


「フ、フィオが……」


読んでくださってありがとうございます。

ブックマーク登録と、評価ポイント★で応援していただけると嬉しいです。とても励みになります。


(ポイントは広告の下↓にあります)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ