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「なになにぃ? お嬢ちゃんの水着姿なんて、まだまだお子様な……は!」


後ろからやってきた大魔導士イルハートが、フィオを見て息を呑む。


フィオは、困惑した表情で俺たちを見た。


「あ、あの?」


「フン……ポーン風情が、生意気な体つきしちゃって。でも、まだまだねぇ」


大魔導士イルハートが、面白くなさそうに鼻を鳴らす。


「え? ポーン?」


フィオは、首を傾げてますます困惑の表情を浮かべた。


そんな彼女をあしらうように、大魔導士イルハートは、指先でツン! とフィオの額を弾く。


「お子様にはわからない話よぉ」


「きゃ! お子様じゃありません!」


「あ、あんた、成人してるんだっけ? じゃ、もう成長することないわねぇ。ざんねーん」


「ふ、普通のはずですが!?」


「はーい、お嬢ちゃんの負け。行きましょう、ぼうやぁ」


「……」


「あら、ネジが飛んでるわ、ぼうやったらぁ」


「ベタベタしないでください!! アーチロビン、アーチロビン、どうしたの?」


「フィ……反則……すぎて……」


「え?」


想像していたのと、違いすぎる。


完全に頭がショート。考えが空回りして、言葉にならない。


後ろから追いついてきたケルヴィン殿下と、聖騎士ギルバートも、フィオを見て感嘆の声を上げる。


「へぇ! フィオ、すごく素敵だ。まるで別人」


「本当だ。わぁ、ボク、交際申し込みたくなってきたよ」


二人に言われて、フィオは顔を真っ赤にして恥ずかしがった。


「か、揶揄わないでください! 二人とも」


「いやいや、俺、手を出しとけば良かったと思ってるよ」


「ケルヴィン殿下! なんて事言うんです」


「怒らないで、フィオ。普段の君と違うからボクたち驚いてるの。こんなに可愛さとセクシーな魅力のバランスが完璧な女の子、見た事ない」


「ギルバートまで……」


フィオは、頬に両手をあてて俯いてしまった。


そうだよな。

ゆっくり思考が戻ってくる。


色気だけに特化してないところが、フィオの魅力。


「あら、私の方が大人の女としての妖艶さとミステリアスさが同居してるわぁ」


イルハートも張り合ってる。女のプライド、て、やつか?


ケルヴィン殿下は、ニヤニヤしながら二人を見比べていた。


「甲乙つけがたいな。あとは好みの問題だ」


「ケルヴィン殿下、その言葉は訂正していただきたいわぁ。月とスッポンの差があるはずよ。もちろん、お嬢ちゃんがスッポンねぇ」


「失礼ですね!!」


「ぼうやは、どっちが好みぃ? 私よねぇ?」


イルハートの声が遠くに聞こえる。

……俺? 俺の好み?

それは、もちろん……と、言おうとして、後ろから魔導士ティトの声がした。


「何をしとるんじゃい! お前らは!! 通路に棒立ちされたら、他のお客の邪魔ぞ!!」


おっと、そうだ。しっかりしないと。

俺たちは慌てて移動して、大魔導士イルハートの言っていたテントを張ったエリアに向かう。


その間、イルハートが何度も腕を組もうとするので、避けたくても人混みのせいでうまくいかなかった。


フィオは、そんな俺たちを尻目に前をスタスタ歩く。


フィオ、フィオ、待ってくれ!

誤解されたくない……フィオ!


前のめりに彼女の後ろ姿を追う。


「そのテントがいいわぁ」


ふいに大魔導士イルハートが、見つけたテントを指差した。


テントの中は無人で、ようやく人混みから解放される。


これで、一息つけるな。


「いい加減、離れんかい!」


魔導士ティトが、俺と腕を組んでいたイルハートを引き離した。


はあ、やっとか。


「……」


フィオが俺を振り返ると、無言で目を細める。

また、あの怖い目。


「フィオ、あの……」

「……」


やっぱり、怒ってるのかな。


俺たちの雰囲気を見て、大魔導士イルハートは、おかしそうに笑う。


「あらぁ、ぼうや、嫌われたのぉ?」


「よさんか! イルハート!」


魔導士ティトが、苦々しい顔つきで俺たちの間に入ってくる。


「うふ、ティト、水着がよく似合ってるわよぉ?」


「嫌味はトイレに流してこい。さっさと話とやらを聞かせろ」


「下品ねぇ。ま、お年寄りはおトイレが近いものねぇ」


「安心しろ、お前もいずれこうなるんじゃ。それより、お前とネプォンがこの国へ来たのは、アーチロビンにつけた追跡の魔法のせいか?」


「まあね。それに、ちょうどこの国に来るもっともな理由もできたしねぇ」


「もっともな理由?」


「この国の国教として、我が国と同じ宗教を制定することになったのよ。それで、大聖女代理シャーリーが招待されのぉ。私は送迎しに来たわぁ」


シャーリーがこの国へ!?

俺は急にハッとなって、話題に集中する。

あいつまでいるのか。


「なぜ、ネプォン義兄上まで来たのだ?」


ケルヴィン殿下が、声をかける。

そうだよな。理由はなんだ?


「私が城を離れるからよ」


大魔導士イルハートは、クスクス笑って下に座った。


そのゆったりした態度に俺はイライラして、彼女に詰め寄る。


「さっさと本題を言え。話とはなんだ?」


言われた彼女は、肩をすくめて片手で座るように促してきた。


「皆さんも、お座りになってぇ。この地面は、温かくて体内の老廃物を流してくれるわ。お話はそれからよぉ」


と、言う彼女に、俺たちは仕方なく座り込む。

狙いはなんだ?


彼女は、俺たちが座るのを確認するとズバッと本題に入ってくる。


「魔王の復活は近い。そうでしょお?」


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