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第4話「街の変わる場所」

イチョウ通りを進んでいると、道路脇の木から突然、大きな羽音がした。

バサッ。

何かが枝を蹴ったような音だった。

反射的にそちらへライトを向けたが、光が届いたときには、鳥の姿はもう暗闇の向こうへ移っていた。

「なんだ……?」

すぐ近くから、グァ、グァ、という鳴き声が聞こえた。

自分は足を止め、耳を澄ませた。けれど、鳥はそれ以上鳴かなかった。羽音も聞こえず、周囲は元の静けさに戻っていた。

木の枝を見上げても、鳥の姿は確認できない。

何という鳥だったのだろう。

その場では見当もつかなかった。夜に活動する鳥がいることは知っていたが、鳴き声だけで種類を判断できるほど詳しくはない。

気にはなったものの、いつまでも立ち止まっているわけにもいかない。自分は再び歩き出した。

後になって調べたとき、あの鳥はゴイサギだったのではないかと思うようになった。ただ、あの夜に見た姿は一瞬で、鳴き声だけで確実に判断できるわけではない。今となっても、断定はできなかった。

夜の道には、昼間なら気づかなかったものが潜んでいる。

そう考えると、少し面白くもあった。自分が知らないだけで、夜の住宅地にも、動物や鳥たちの時間があるのだ。

やがてローソンのある交差点に出た。そこを通り過ぎ、次の交差点で左に曲がる。

道の先へ進むと、左手には市役所方面へ続く山の斜面が見えた。右手には住宅地が広がっている。新聞販売店の看板が、街灯の明かりの中に浮かんでいた。

夜中なので、店の周囲に人影はない。窓も暗く、建物はひっそりとしていた。

さらに進み、けやき通りへ入った。

道路沿いには住宅が並んでいる。窓から明かりが漏れている家もあれば、家全体が暗くなっているところもあった。そこに暮らす人たちが何時に寝て、何時に起きるのか、自分にはわからない。

ただ、夜中でも、すべての人が眠っているわけではない。

自分のように夜勤で働く人間もいる。運転を続ける人もいる。店や施設を支えるために、夜の時間帯に働く人もいる。

街が静かに見えるからといって、そこで暮らす人たちの営みまで止まっているわけではなかった。

しばらく歩くと、道の先が行き止まりになった。そこは造成工事が進められている場所だった。

昼間なら工事車両が動き、人が作業をしているのかもしれない。しかし、今は作業の音もなく、重機も静まり返っていた。広がる土地と、その周囲にあるものだけが、街灯の明かりに照らされている。

自分は少しだけ足を緩めた。

住宅地の中にも、こうして姿を変えていく場所がある。以前からあったものがなくなり、新しい道路や建物ができる。人が暮らす場所は、少しずつ変わっていく。

その変化が良いのか悪いのか、自分には簡単に判断できなかった。

便利になることもあるだろう。新しい住人が増えれば、街の様子も変わる。一方で、土地が変われば、そこにいた生き物たちの居場所も変わるかもしれない。

ただ、今の自分にわかるのは、ここで工事が進められているということだけだった。

自分は道を右に折れ、先へ進んだ。

やがて、左手に成田東公園が見えてきた。公園の中は暗く、遊具や広場も夜の景色に沈んでいる。

この公園にはトイレがある。歩いている途中で立ち寄れる場所があるのは、思っていた以上にありがたい。

少し先へ進み、セブン-イレブンのあるところで左に曲がった。

ここまで来ると、道路の様子が少し変わった。

住宅地の明かりが続いているのに、周囲の木々が目に入るようになった。道路の向こうに、緑の濃い場所がある。

成田せせらぎ緑道の入口だった。

自分は歩みを緩めた。

ここから先は、今まで歩いてきた道路とは少し違う。

そう感じたのは、何か特別なものが見えたからではない。目の前にあるのは、木々と水路が続く、いつもの緑道だった。

それでも、入口の前に立つと、自然とそちらへ足を向けたくなった。

自分はライトを持ち直し、緑道へ入っていった。

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