3.捜索
日々の生活を維持するためには、どうしても先立つもの…つまりお金が必要だ。というわけで、私は行きつけの互助会に来ている。裕福な人がいろいろな依頼をだし、それを解決することで報酬を得る。ざっくり言うと、そんな場所だ。
「あら、聖女さん今日はこちら?」
「…はい。魔法系の依頼で良さそうなものはあるでしょうか?」
馴染みの受付の人が対応してくれる。普通は難しい依頼も、補助系の魔法を前提にすれば容易なことがある。報酬も良い。
今回はある婦人の大切にしている猫探し。猫の情報は詳細に書かれているけど、相手は動物。見つけて捕まえるまでが大変だなのだろう。私は、情報を元に探索の魔法を発動させる。…見つけた。
ほんとうは、定職についた方が生活は安定するのだけど、私と「それ」には向いていない。かなり前に、治療院の正規職員になったことはある。でも、できるだけがんばった結果、みんなが私を頼る→がんばる→みんなが…となった。そうなると私の場合、「それ」のせいで体がもたない。
もともと、めりはりのある生活が性に合っている。あちこち散歩しながら、のんびり街の様子を眺める時間は大切にしたい。…ふらふら歩き回ってるから、夢見の、なんて呼ばれるのかな。
おっと、そろそろ依頼に集中しよう。相手は近くにいる。何ひとつ不自由してなさそうな、ぽっちゃりした猫で、のんびり屋根で昼寝してる。私も慣れてるから、身体強化で足音なく飛び上がる。もちろん、人がいないのを確認して。下からのぞかれたくない。
あとは拘束と運搬で確保完了、のはずだったが、急な風で私のローブのすそがはためく。思わずおさえる。猫と目があった、運が悪い。猫は想像以上の反応で駆け出す。魔法は自分から離れるほど、難度と消費が跳ね上がる。すでに猫は馬車通りに出て、こちらを見て得意げに尻尾をたててた。
やれやれ仕切り直しかと思ったけど、猫の背後に馬の影。停車の少ない急行馬車だ。このままだとはねられる、お願い届いて!思わず振り絞った拘束運搬の魔法は、球状に猫を包み、馬の蹴りをものともせず、私のところに送り届けた。
腕の中で猫は機嫌良さそうに、私の胸に顔をこすりつけながら、ごろごろ喉を鳴らしてる。なんとも言えない気分だ。お礼なら「それ」に言ってほしい。




