2.守り
まったく…「それ」にはもうちょっと、自重してもらいたい。主に「それ」のせいで、やや疲れの残る翌日。私は買い物のため、街の中心部に来ていた。
「お嬢ちゃん、結構重いけど大丈夫かい?」
「…大丈夫です。」
自炊用の食料をまとめ買い。魔力での身体強化は、わりと一般的な技術なので、私みたいに少し小柄な人でも、たくさんの荷物を持てる場合がある。人は見かけによらないし、外から見えないことだってある。
大通りを歩く。賑やかな街は好きだ。石造りの家は表情豊かで、見ていると幸せな気持ちになる。あっ、あの雑貨屋さん気になる。でもいまは両手がふさがってるから、また今度行こう。
…そんな時間を壊す悲鳴と喧騒。どうやら荷車が制御を失ったらしい。軽量化用の魔石が、予想より早く空になったとかだろう。丘にあるこの街では、ときどき起こる事故だ。
街の人はうまく逃げているけど、行き止まりにいる小さな女の子が危ない。荷物をその場に置いて身体強化。荷車を追い抜いて、障壁の魔法。荷車は進路を変えて、女の子の手前の壁にぶつかった。さすがに荷車を障壁で受け止めるのは、ちょっと怖い。
「…大丈夫?」
「うん、ありがと…おねえちゃん!」
おっと、衝撃で古い石壁が崩れたらしい。目の前に瓦礫が迫る。障壁の魔法ではじこうとしたけど、「それ」の方が早い。私を守ることについて、「それ」はかなりの執着をみせる。助けられたことも多い。
「わあっ、きれい。ゆめみたい!」
「…」
私たちを守る、豪華な光のドーム。いや、だからそこまで必要ないから。昔から「それ」は過保護だ。とりあえず、おいておこう。
「…無事でよかった。」
「もしかして、ゆめみのせいじょさま?」
女の子の頭をなでて、すばやく立ち去る。人が集まってきている、あと「それ」の結界が目立つ。ここは戦略的に撤退だ。
「聖女さん!荷物忘れてるよ!」




