1.治療(みえる)
『30回 腕立て伏せ』
「それ」には何度も助けられてるので、強くは言えないし、そもそも耳があるかも怪しいけど。力を使ったあとのこれは、なんとかならないのだろうか…
「…んっ…はぁ…」
今回は腕立て伏せ。体を持ち上げるのが大変だ。そもそも体型の面で、男性より女性の方がきついトレーニングだと思う。かなり細かく、足の位置や腕の角度が調整される。あの大雑把なお手伝いからは、想像できない。どうしてこの繊細さを、普段のお手伝いで発揮しないのか。
やめてしまえば良い?それができたら、こんなに苦労してない。この見えているカウントが0にならないと終われないのだ。しかも「それ」は、雑なトレーニングをカウントしない。ときどき入る指導は、私に正しい動きを理解させるための、「それ」の心遣いだ。まったくうれしくない。
そういえば、「それ」が雑なトレーニングを許可したときがあった。体調が悪くて、体が思うように動かせなかったときだ。ただ、翌日のトレーニングが明らかに多かったから、単に翌日に回しただけなのだろう。あと、途中での休憩は、原則許可されない。最後の1回がきつい、腕がぷるぷるしてる…やっと終わった。
宿の個室で床に突っ伏している、私をねぎらうように、「それ」は私の背中を軽く叩いて消えた。さっさとシャワー浴びて寝よう。




