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夢見の聖女はできるだけがんばる  作者: Nomu


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16.人質

少し軽めの仕事がしたいと思ったので、今日は互助会に来ている。また猫探しとかないかな。終わったら依頼の報酬で、新発売のケーキを買おう。甘いもの食べると、幸せな気分になるよね。


「あっ聖女さん、ちょうどいいところに。このお坊ちゃんが、落とし物を探してほしいって。」

猫じゃなかった。どうやら、うっかり懐中時計を落としてしまったらしい。高価なものとのこと。

「…分かりました。」

「僕もついて行って良いですか?誰か拾っていたときも、説明しやすいですし…」

うーん、できれば気楽に仕事したいのだけど、依頼人の要望なら仕方ない。


懐中時計の特徴を確認して、探索の魔法。反応が薄い。天啓の魔法を組み合わせて、方向を導きだす。ときどき確認しつつ、近くへ向かおう。

「聖女さんには、僕もお会いしたいと思っていました。運命を感じますね。」

「ほんとうにお美しい。聖女さんの心を映しているようです。」

「隣にいるだけで、心が洗われるようです。これも聖女さんの魔法でしょうか。」

問題はこのお坊ちゃんだ。私の対応力の限界が近い。あと、せめて視線をもう少し隠してほしい。


「…あの人たちが持っています。」

治安が悪そうな場所、明らかに地下組織の人だ。昼間から酒を呑んでいる。さっさとお話して回収しようとしたら、手で制される。お坊ちゃんだ。

「聖女さんを危険にさらすなんて、僕にはできない。下がっていてください。」


…しばらくして、地下組織の人を連れて戻ってきた。短剣を突きつけられてる。

「こんな場所に聖女様とは珍しい。おっと、動くとこの男の命はないですよ。さすがの聖女様も、死人は救えないですよね?」

事実だ。死んでしまった人は、救えない。

「手荒な真似はしたくありませんので、武器を置いていただけますか?」

ロングスタッフを置く。

「素直でよろしい。では、ローブも脱いでいただけますね?」

男たちの下品な笑い。そうだ、猫の捕縛用に考えた作戦を試そう。


そっとローブの胸元をゆるめる。少し恥ずかしいけど、条件をそろえるためがまんだ。そして、ローブの裾を少しずつたくし上げていく。男たちの目は釘づけだ。ついでにお坊ちゃんも。観念したように目を閉じて…閃光の魔法。男たちの悲鳴があがる。本来は、振り向いた猫の視覚を奪って、無力化する作戦だけど、人間にも効果は高そうだ。


すぐさまスタッフを蹴り上げて、全員殴り飛ばす。ローブを整えて、懐中時計を回収。いろいろあったけど依頼完了…しまった、お坊ちゃんも倒れてる。自業自得だし、男たちにやられたことにして、互助会まで運ぼう。

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