13.発熱
熱がでた。やっぱり魔力誘導は、私の体への負担が大きかったらしい。体の中に、魔力のよどみがある。少しずつ分解してるけど、まだ時間がかかりそうだ。
だるい体を動かす。汗だくになっていた、夜着と下着を替えないと。体も拭いておこう。水分補給して、昨日の帰りに買った、バナナの皮をむいてほおばる。「それ」に、物理的に後ろ髪をひかれて、やむをえず買ったものだ。どういうわけか、「それ」は私にバナナを買わせたがる。今回はおかげで助かったけど。
体調を崩したのは久しぶりだ。小さい頃は、どちらかというと体が弱かったと思うけど、今は体力もあるし治癒の魔法もある。最近だと、体力か魔力を消費しすぎたときに倒れることが多い。「それ」に関係するときってことだよ、分かってる?ひとり暮らしだと、そんなときにちょっと困る。どうしようもないときは、宿の管理人の奥さんに助けてもらったっけ。
子供のときはいつも、お母さんが助けてくれた。この街からだいぶ南にある、王都に住んでいた頃の話だ。高等部でトラブルに巻き込まれ、心身にひどい傷を負った私は、卒業扱いでこの街に療養にきた。ということになっている。半分ほんとで、半分うそで、だいたい「それ」のせいだ。お母さん、元気にしてるかなぁ。
ちょっと感傷的になってしまった。熱で弱っているのだろう。引き続き、魔力を分解しつつ休もう。
「…」
額にひんやりとした感覚。体もなにかに包まれている。節々の痛みが少しやわらぐ。「それ」が、自分もいることをアピールしてるのだろう。うーん、複雑な気分。でも、いまはそのやさしさを、素直に受け入れよう。ありがとう、普段からもう少しだけ、私をいたわってくれるとうれしいな。




