9.要塞-①(みえる)
『50回 上体起こし』
ちょっと微妙な空気になったけど、作戦会議は無事終わった。隣の街の人の視線は、半信半疑という感じ。そこはなんとか、信じてもらうしかない。
宿に戻り、こまごました道具を調整して、借りてきた記録を確認する。亜人の属性の魔物は、それなりの知能を持っていることが多く、攻撃が多彩だ。それらを知っているかいないかが、生死を分ける場合だってある。
「…ふっ…ふっ…」
私は真剣に準備してるのに、「それ」は平常運転だ。私はやむをえず、記録を確認しながら、単に腹筋運動とも呼ばれる、上体起こしをしている。
「…ふっ…ふぅ…」
腹筋を鍛える運動の定番。膝をたてて、足は「それ」がおさえている。これも重さのバランスの関係で、男性より女性の方が負荷が高いと思う。
「…ふ…ふっ…」
記録の確認に集中しよう。要塞の上位種は手強い。弱い者を集中的に狙ったり、人質をとったという話すらある。
「…ふっ…」
亜人の属性の魔物は、女性を繁殖目的で襲うことがある。つかまった女性の末路は悲惨だ。今回の要塞でも、被害がでてしまったのだろうか。
「…」
えーっと、「お願い、許して!」「ゴブブブ、体は正直だぞ、ほれほれ。」「いや〜だめ〜」…この部分絶対いらないよね。
「…ふぅ…ふぅ…」
しんどくなってきた。上半身の重りについて考える。男の人と話をするとき、視線がときどき、下に動くことがある。男の人は、そういう生き物らしい。謎だ。
「…ふ、うっ…」
さわりたくなるのも、私にはよく分からない。領主のおじいちゃんなら教えてくれるかな。
「…ふっ!…ふっ!…」
もうっ!全然集中できない。はやくカウント0にして、ぬるめのお風呂にゆっくりつかろう。




