5.討伐-②
翌朝。宿で軽い朝食を済ませ、討伐組合の共用スペースへ向かう。少し雲はあるが、おおむね天気は良い。絶好の散歩日和だが、今日は仕事だ。
私はいつもの白いローブと、愛用のロングスタッフ。魔力で強化できるよう、魔力伝導率の高いものでそろえている。体内の魔力を服に伝える関係で、あとは下着くらいしか着れないけど、丈夫さと快適さには申し分ない。のぞかれないよう気をつけるくらいだ。
討伐組合に到着。ほかのメンバーは既に集まっていたようだ。
「聖女さん〜今日もかわいいね!」
「…少し遅くなりました。」
「こっちもちょうど集まったところよ。今日はよろしくね!」
昨日すぐに酔い潰れていた斥候の人も、今日は元気そうだ。作戦通り任務を開始する。
街の西側に広がる鬱蒼とした森は、昔から魔物の温床になっている。人を襲う魔物の住む危険地帯でありながら、魔石という資源を産む採掘場でもある、不思議な場所だ。有用な植物も自生しているので、森が仕事場という人は少なくない。討伐組合は、ときおり現れる強い魔物を討伐し、森にある程度の安全を提供している。
「オラァ!」
戦士の人の振るうバトルアックスが、スケルトンを消し飛ばす。不死の属性には聖なる力。今回、全員の武器に、私が破邪の魔法を付与している。予定通りの短期決戦。
「スケルトンもほんと不運ねぇ…」
魔石を拾いながらリーダーさんがこぼす。私もそう思う。矢がかすっただけなのに、スケルトンは光の粒子になっていった。それにしても、情報より数が多い。
わずかな違和感。とっさに探知の魔法。まれに設置型の魔法陣を構築できる、上位種が統率していることがある。急な悪寒。探知妨害、呪詛返しだ。負けない、押し通す!やっぱりいた…ぎりぎりまで隠蔽して、魔法陣で道連れにするつもりなのだろう。
『さがって!』
させない、伝達の魔法で指示を飛ばす。一斉にメンバーが後退する。でもあの斥候の人だけきょろきょろしてる、なにやってんの!発動した魔法陣から、黒い蛇が現れて、中にいる者の生命力を喰らっていく。まずい。
破邪の魔法をまとって、魔法陣の中へ突っ込む。結節点を壊して止めるしかない…ここだ。全力の解呪をうちこむ。抵抗が強い。斥候の人のうめき。落ち着いて。冷静に。倒れる音。救いたい!
あふれる解呪の光がすべてを洗い流した。「それ」には感謝するけど、私自身ももっと強くならないと。斥候の人のそばにしゃがみ込む。
「…大丈夫ですか?」
「ははっ…聖女さん、黒なんですね…」
私は立ち上がって、ロングスタッフを振り抜き、彼の意識を飛ばした。




