表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
八重結び  作者: KEI
第8話 八重結び

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
71/86

(八)崩れかける

◆ 九 崩れかける


八重結びは、成立しかけていた。


だからこそ、危険だった。


同期率を上げるほど、安定する。

同時に、失敗時の伝播範囲も広がる。


白鳥の声が速くなる。


「同期率、危険域に接近」


「隙間枝圧、上昇」


「外縁観測、負荷増大」


透は、担当枝から目を離さない。


「まだいけます」


白鳥が言う。


「いけるかどうかではありません」


透は言葉を飲んだ。


白鳥は続ける。


「帰れるかどうかです」


透は、地下道を見る。


足跡。

手。

声。

処理残滓。

そして、術式そのものの残り。


全部は持てない。

持ってはいけない。


透は、言葉を選んだ。


「全部は持てません」


「でも、自分の一本なら」


「約束できます」


白鳥は即座に入力する。


「三枝さんの作業範囲を限定」


「固定前偏向枝のみ継続」


「他枝への干渉は禁止」


黒瀬が低く言う。


「それでいい」


鷹宮が、静かに告げる。


「作戦続行の責任は元請けが持つ」


「撤退判断の責任も、元請けが持つ」


「だから現場は、帰ることだけ考えろ」


美緒は、その言葉を記録する。


篠宮は、外側から循環の異常を見張る。


土御門が低く告げる。


「今、観測を深くするな」


「見たいものほど、今は見るな」


北辰院が答える。


「観測側、深度維持」


「余計なものは見ない」


雪代が言う。


「希薄側、外縁を薄めます」


「濃くなったところだけ、削ります」


風祭も声を出す。


「偏向側、逆流を受ける」


「三枝、隙間は頼む」


透は返事をした。


「はい」


八重士たちが、それぞれの席で踏みとどまる。


一人で万能にならない。

一人で背負わない。

一人で消えない。


八重結びは、そこで踏みとどまる。



※第8話「八重結び」は全十二回です。

続きます。

作者個人サイトでは、人物相関図・各話アイキャッチ・用語メモなどの補足資料を公開しています。

※ネタバレ範囲にご注意ください。


https://www.simulationroom999.com/blog/yaemusubi_top/

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ