(七)八重結び、本接続
◆ 八 八重結び、本接続
凝縮が立ち上がる。
反対側で希薄が外縁を逃がす。
固定が座標を打つ。
偏向が逆流を横へ流す。
観測が対象を確定する。
同調が深度を合わせる。
隙間枝が、柱と柱の間を抜く。
外側の観測円が、柱を縫い留める。
本固定が、封印座標を待つ。
その全てを、一人が抱えるのではない。
八人が分けて持つ。
周囲が、戻らないように支える。
白鳥が読み上げる。
「主接続、同期率上昇」
「隙間枝圧、上昇」
「名痩せ兆候、低位」
「固定前偏向枝、圧上昇」
「三枝さんの担当枝です」
篠宮が外側から言う。
「三枝さん、太くしないでください」
透は答える。
「分かってます」
「流しすぎると、固定の柱が抜けます」
風祭も声を飛ばす。
「全部流すなよ、三枝」
「はい」
「お前の枝は一本だ」
「詰まったところだけ抜け」
透は息を整えた。
「分かってます」
透は偏向を入れる。
八人分は持たない。
八本の枝は持たない。
自分の一本だけ。
太くしない。
主接続にしない。
柱になろうとしない。
それでも、そこが詰まれば、柱は戻れなくなる。
透は、細く抜く。
黒瀬が声をかける。
「呼吸を戻せ」
「戻してます」
「名前」
透は即座に返す。
「三枝透」
美緒が確認する。
「返答確認」
その時、つづりが叫んだ。
「左の固定杭、一本交換!」
篠宮が即座に言う。
「今です」
つづりが走る。
術具を差し替える。
「売り物じゃないやつ切るよ!」
美緒が言った。
「請求書は後で」
つづりが振り返りそうになる。
「今それ言う!?」
白鳥が確認する。
「固定杭、安定」
「隙間枝圧、低下」
つづりが叫ぶ。
「ほら効いた!」
篠宮が短く言う。
「助かりました」
「今のは高いよ」
「後で美緒さんに」
「怖いところに回すな!」
それでも術具は、逃げ道を保つ。
宮守の札が焦げる。
固定杭が鳴る。
予備札が黒ずむ。
使われなかったはずのものが、使われる前提で置かれている。
その全部が、八重結びの外側を支えていた。
※第8話「八重結び」は全十二回です。
続きます。
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