(八)空席表
◆ 十 空席の条件
白鳥は、役割表を出した。
それは八重士の名簿ではない。
柱と隙間と外縁の条件表だった。
白鳥は言う。
「これは名簿ではありません」
「空席表です」
透は画面を見る。
「空席?」
「誰かが座らなければいけない場所です」
白鳥は、まず柱の席を示す。
主観測。
対象変化を読み直せる八重士。
境界固定。
霊障領域の拡散を止められる八重士。
同調制御。
怨霊側へ入りすぎず、周期を読める八重士。
偏向誘導。
流れを封印路へずらせる八重士。
凝縮管理。
封印核を一時的に濃くできる八重士。
希薄処理。
周辺残滓を薄められる八重士。
反発処理。
枝崩れ時の主負荷を受け止められる八重士。
本固定。
最後に封印座標へ留められる八重士。
白鳥は次に、隙間の席を示す。
固定前偏向。
固定柱の前で反発を薄く逃がせる補助者。
観測前同調。
観測が主観化しない範囲で浅く合わせる補助者。
希薄前凝縮。
散りすぎる前に核の輪郭を細く残す補助者。
偏向前固定。
偏向柱の前で流れを浅く留める補助者。
同調前観測。
同調が入り込みすぎないよう引き戻す補助者。
凝縮前希薄。
核の輪郭が太りすぎる前に細く戻す補助者。
反発処理前対立系事前枝。
目的接続の前に対立系統を薄く通せる補助者。
本固定前対立系事前枝。
目的接続の前に対立系統を薄く通せる補助者。
最後に、外縁の席が並ぶ。
柱縫い留め。
外縁から柱が柱であり続けていることを観測する担当者。
署名確認。
名痩せ兆候を作戦前後で確認する担当者。
停止判断。
術者本人ではなく、外部から停止を判断する担当者。
帰還確認。
作戦後、術者が帰ってきたことを記録する担当者。
代替拠点。
八重士が抜けた地域を一時的に支える人員。
白鳥は、全体を表示したまま言う。
「ただし、誰でもいいわけではありません」
「座ってはいけない人もいます」
「柱に座るべき人」
「隙間に座るべき人」
「外縁に立つべき人」
「それらを間違えると、作戦ではなく連鎖事故になります」
篠宮が確認する。
「隙間枝は八本必要ですか」
白鳥は頷いた。
「はい」
「柱が八本である以上、柱間の隙間も八つです」
「外縁観測は?」
「理想的には八方向」
「ただし、一人が複数方向を見ることは可能です」
土御門が言う。
「可能ではあるが、輪を保つなら偏りは出る」
白鳥は頷く。
「はい」
「外縁観測の人数は、術者適性と視野範囲で再計算します」
土御門が画面を見る。
「席を埋める話ではなく、重さを戻さない話か」
美緒が短く答える。
「だから最悪なんです」
黒瀬が聞く。
「でも無理とは言わない」
美緒は画面を見たまま言った。
「言いません」
「言ったら、そこで終わります」
白鳥が美緒を見る。
「名簿化をお願いします」
美緒は少しだけ息を吐いた。
「それが私の仕事ですね」
「はい」
「最悪です」
白鳥は頷いた。
「同意します」
※第7話「空席の条件」は全十回です。
続きます。
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