11話 瀬戸さんが、いた!
朝。
(瀬戸さん、今日は体調良くなってるといいな……)
そんなことを考えていたら、自然と家を出る時間が早くなっていた。
(体調の確認とまた忙しそうなら手伝おう)
とはいえ、どう切り出せば良いか考えていたら、もう学校に着いていた。
ーー
教室に入ろうとした瞬間、
春日井が目線で何かを言いたげだが、よくわからない。
(いや、長年プレイした選手じゃないんだから…まったくわからん)
ただ、その先には──
いつもと変わらない姿で本を読む瀬戸さん。
(いる!!)
胸が一気に軽くなる。
けれど、マスクをしている。
(あれ、、、大丈夫なのか?!)
ーー
席に着こうと鞄をおろして瀬戸さんの方を見たら…瀬戸さんがすでにこちらを向いていた。
「おはようございます。
昨日は心配してくれてありがとうございました」
「っ……あ、いえ。
体調は大丈夫ですか?」
「はい、微熱程度だったので念のため休んだだけなんです。
マスクは……少し喉に違和感があるので、悪化しないよう予防です!」
マスク越しでも、声はしっかりしているし
表情は見えないけれど、元気そうなのが伝わってきて、一安心。
(よかった……)
ーー
「もし、もし何か手伝えることあれば、遠慮なく言ってください!」
瀬戸さんは一瞬目を丸くして──
「!! ありがとうございます」
そして、少し照れたように続けた。
「まだ新入生向けのイベントがあるので、是非お願いしたいです!」
(……もちろんです!)
ーー
後日。
学校の掲示板に
《新入生歓迎会 運営スタッフ募集》
の紙が貼り出された。
(……これが瀬戸さんが言っていたイベントかぁ…)
内容は
部活動対抗によるリレーだが、賞品が一味違う。
優勝から順に
今年1年間の部活動練習場所が優先的に与えられる。
運動部にとっては
大会成績に直結するし
文化部にとっても
エアコン付きの教室という
勝てば天国、負ければ地獄となる我が校の三大行事である。
とはいえ
帰宅部だった俺は蚊帳の外だったので何をやるのか知らない…。
なんとなく春日井から聞いたことは有ったが、関係ないため覚えていない
まずは応募。
そして、後日瀬戸さんに応募したことを伝えると
え? と顔をされてしまった
「週末に説明会があります、そのあとに応募の流れだったのですが…」
なるほど…
確かに掲示板に貼られたポスターには、デカデカと説明会と書かれていた。
見落としたぁ…
瀬戸さんからは
説明会聞いてから再度回答しても大丈夫です!
とフォローされてしまった、恥ずかしい。
「応募ありがとうございます、例え回答が変わってもお気持ちだけでも嬉しいです!」
その笑顔をマスク無しで見たかったと悔やまれた。




