11話 学校行事の準備
説明会当日の朝。
(説明会は放課後。 三年にも関わらず、このイベントについて何も知らない自分が恐ろしい)
教室に入ると、瀬戸さんはすでに席にいて本を読んでいる。
まだマスクは付けたまま。
「おはようございます。
今日の説明会よろしくお願いいたします」
「はい、よろしくお願いします」
声も雰囲気、元気そうだ。
(よかった……)
ーー
席に着いた瞬間、春日井が肘でつついてくる。
「お前、説明会すっ飛ばして応募したんだって?」
「うるさい、なんで知ってんだよ!」
「そりゃ各部活動のキャプテンは運営に回るからなぁ、参加名簿は閲覧できるさ」
「そしたら、もう応募してるやつが1名いてな!」
「えぇー消しといてくれ!」
「俺はいいと思うぞ、手伝うって気持ちが伝わるし、よっぽど何かない限り手伝うんだろ?」
「まぁ、その予定。帰宅だし」
「だろ? ま、今日の説明会一緒行こうぜー!」
ーー
放課後。
多目的ホールには、ざっと50人ほどの生徒が集まっていた。
部活キャプテンだけじゃなく、春のように自主参加の生徒も多い。
前には生徒会メンバーが並び、その中に──
(……瀬戸さん?)
“副会長”の腕章を付けた瀬戸さんが立っていた。
(副会長だったの?!)
春は春日井と後方に座りながら、ただただ驚いていた。
ーー
説明が始まる。
「新入生歓迎会のメインは、部活動対抗リレーです」
優勝部は一年間の練習場所優先権を獲得。
文化部もエアコン付き教室が優先されるため、全員が本気になる。
(……3年になってようやく、このイベントの重みがわかった)
春は、自分がどれだけ学校生活を謳歌していなかったのか思い知る。
ーー
役割説明が始まる。
「コース設営」「タイム計測」「誘導」「救護」「記録」など、仕事は多い。
春は「記録係」に割り当てられた。
そして──
瀬戸さんの担当は「進行管理」。
同じテント内で作業することが決まった。
(……嬉しいけど、粗相はできない!)
緊張と喜びが同時に押し寄せてくる。
ーー
説明会が終わり、帰り際。
瀬戸さんが春のところへ歩いてきた。
「応募してくださって、本当に嬉しかったです」
「当日は頑張りましょう!!」
「粗相がないように頑張ります! お互い体調は気をつけましょう!」
瀬戸さんはマスク越しでも、笑顔になっているのがわかった。
ーー
その後、新歓までの数日は
怒涛のように準備で過ぎていった。
春は初めて“自分から動く”経験に戸惑いながらも、
どこか楽しくて仕方がなかった。
(案外こういった活動も嫌いではないかもなぁー)
新歓イベントの朝がやってきた




