4話:動き
先に地図の挿絵を入れておこう。
あらすじ
書類仕事に忙殺されるハリコフは、休憩中に兵士、民の不安を目の当たりにし、板挟みとなってしまう。それでも、その後リエと風に吹かれ、決意を取り戻したのだった。
本部が創設されて、一、二週間が経った。異能の調査はかなり順調に進んでいる。というのも、リーダーに掛け合った結果、人員の大幅増加が決定されたからだ。これを伝えたときの長官と部下たちの喜びようは尋常ではなかった。怖いくらいに。そして、その人員というのは……
「君たち前までこんな業務量を自分たちだけでやってたの……!? そりゃクマもできるよ……」
細い腕を動かし業務を片付けながらリエはぼやいていた。そう、リエと彼女の部下たちが参戦してくれたのだ!
「手伝って欲しい、ということを伝えたら直ぐに快諾してくれましたからね」
「うぅ、しくじった……。内容詳しく聞かずに引き受けるんじゃなかった……」
「本当に似ているな、君たちは……」
得意げに笑う俺とげんなりしているリエを見やり、長官はため息をつく。リエの存在に大いに助けられていることもあって、長官はそれ以上深掘りをしなかった。
業務に戻ろうとする矢先、横にいる唯一の後輩ライアンから話しかけられた。
「それにしても先輩、よくリエさんのこと引っ張ってこれましたね。あの人達本来前線に駐屯する役目ですし、本人こんなに嫌がっているのに」
「あぁ、少し策を講じたのだよ」
「策?」、と戸惑うライアンに一部始終を説明した。
まずリエに手伝ってもらうよう頼み込んだ。前の自分を見ているリエは、快く承諾してくれた。言質を取った俺はすぐさまリーダーの下へ行き、調査に人員が必要なこと、既にリエの許可は得ていることを熱弁したのだ。
「その圧に負けて、リーダーは許可を出してしまったと」
「まぁ、戦闘が比較的沈静化していることとか、いろいろ理由はあると思うけどな。ともかくその事実によってリエの退路を断ったと言うわけだ。」
そう言って話を締めくくる。実際、連邦側の動きが小さいからこそこのスピードで進められているわけで、戦闘が本格的に始まればガクンと落ちるだろう。使えるものは使わなければならなかった。
「なら、今のうちに進めないとですね」
「あぁ。頑張ろう」
会話を終え、仕事に戻ろうとする、その時だった。部屋の扉が大きく開かれる。
「ミロ長官はいらっしゃるか」
黒の軍服を着た男が入ってくる。その色は情報局員の証である。
「ん、情報局のソリテール副長か。どうした?」
「連邦軍に動きがあった」
その場の空気がひりついた。長官の手が止まり、声のトーンが一段階下がる。
「場所は?」
「ピューリ川北部だ。二師団、25000ほど移動している。あそこが抜かれれば、前線は後退してしまう」
「了解した。要件はそれだけか?」
「もう一つ、西部の同志たちについてだ。あちら側の連邦軍は異能の使用を自粛しているらしく、今も既存兵器で戦闘を行っているそうだ。しばらくは持ちこたえられると」
「わかった、退出してくれ」
失礼する、と言い残し男は去っていった。
「話は聞いたな、お前たち」
「はい。師団編成はすでに半数ほど終えております。――それに、この二週間で集まった兵たちの”データ“も、すでに実戦で使えるレベルでまとまっています」
「よろしい。では作戦立案に進む。我々の異能対策本部が、ただの書類仕事の組織ではないことを証明してやるぞ」
長官は皆を見据えて宣言した。
「思い上がった鷲を地べたに引きずり下ろしてやろう」
5月22日 筆を走らせることが心地よく思えてきた。彼らの反応を思うと、胸が踊るな。
当時の兵数でも記しておくことにしよう。
連邦軍:650000(内機械化師団兵数150000)
内反乱軍対処300000(内機械化師団兵数50000)
連盟軍:140000(内北部、東部方面軍80000
南部方面軍40000
西部方面軍20000 )
加え決起した同志約10000




