14話:扉
連邦軍大将:チャーター・ルヴィーネ:男:52歳
あらすじ
戦線を押し上げ、敵師団を殲滅しようとするようとする連邦側と、それに対処し逆包囲を狙う連盟側。各々が目的を達成するために死闘を尽くす。
賽は投げられた。
サルーディア丘陵北端にて、両遊撃隊が突貫を開始した。
空を覆う爆撃と、正確無比な1発の狙撃。彼らの攻撃は無慈悲に連邦軍を鏖しにしていく。
「シャルルさん、いつも通りうちの兵の支援、お願いしますよ!」
「言われなくとも! 壁が優秀で殺りやすいしね」
シャルルはそう言いながら1人、また1人と屍を作っていく。
その美しく鮮烈な光景に、リエは見惚れていた。
(やっぱ強いな、シャルルさんは。美人だし強いし紳士的だし、普通ならモテるよなぁ。……普通ならなぁ)
ため息をつく。実際問題、異常な好意を除けば100点満点の男なのだが……まぁ、戦場においては、強い以外関係ないか。
彼女は思考をリセットし、脳に入り込む情報を即座に整理する。戦友に矛先を向ける狙撃兵が確認できた。
「!」
咄嗟に粒子をはしらせ壁を作る。瞬間、その先に身を焦がさんと炎が広がり、やがて消えた。
「すみません隊長!」
「気にしないで、敵に集中!」
感謝を述べる部下の言葉を軽く受け流し、目の前の敵兵の喉元を掻っ切った。地面に倒れ伏す兵の返り血で、リエの頬が紅く染まる。彼女はソレを一瞥し、すぐに先頭に躍り出てゆく。
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(強烈、その一言だな)
先ほどまでの光景を視界の端にとらえていたシャルルは、ふと感嘆の念を湧かせた。彼女はもちろん強いが、昔から遊撃隊隊長に抜擢されるほどには有能だった。皆から慕われ、強く、そして美しい。
(惚れないわけがないだろう……)
彼女を気に留めないのは、一種の狂人だろうな、と2人抜きをしながら思った。だからこそあのクソ男が許せない。奴はリエちゃんが一番気にかけてくれているにも関わらず、意識していない(ように見える)。あとで帰ったらその件についてゆっくり説教するのもありだな、と彼は考えた。
(ーー隊長、現在地点は約2km、もうすぐ目標地点に着くかと)
そうこうしていると、シャイセン副隊長が通信を入れてきた。シャルルは「分かった」と応えて通信を切る。
(とりあえずここまでは作戦通り。こじ開けた穴は……)
後ろを振り返ると、サマル少将ら第五師団がしっかりと死守していた。しばらくは問題なさそうだ。
安心して踵を返し、小丘を登りつめる。そこで彼らはこちらに目もくれず味方の突撃に対処する敵機械化師団を確認できた。
(あのクソ男の筋書き通りだな……反吐が出るが、やはり有能だな)
後ろを見やり、部下たちやリエ隊の到着を少し待つ。その間、相棒の狙撃銃に弾薬を装填する。この鉄の塊で、人を殺すのだから、一発一発、丁寧に。
一通りの装填が終わった頃には、ある程度着いていた。各々息を整え、命令を待っている。
すぐ横にリエがやってきた。
「いきましょう、シャルルさん」
「……よし、行こうか」
眼前には、こちらの存在に気づいたのかいくつか反転を始めているが、もう遅い。両遊撃隊は、獲物を狩らんと突撃を始めた。
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一方、連邦軍のドヌド戦車長の脳内は大混乱に陥っていた。ハッチから指揮を行う最中、味方しかいないはずの後方から、敵影を確認したのだ。
(ば、ばかな。どこから現れた!?)
焦燥感に駆られつつ、即座に部隊を反転させようとする。しかし突如先ほどまで戦っていた敵部隊が熾烈な攻撃を始めたせいで、うまく動かせない。
歯噛みする、が意味はない。できることをしなくては。
「隣の部隊にいるリヒターに連絡を入れてくれ! それと本部にもだ、包囲だけは避けるぞ!」
同じく搭乗している戦友に指示を飛ばす。そして向かってくる敵兵に視線を移した。
(これ以上貴様らの好きにさせるか……!)
鉄でできた鷲の群れ、相対するは戦姫率いる騎士の団。
雌雄が決する。
6月4日 挿絵は順調だ。このままの調子で完成させていきたいものだ。




