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【独り立つ】  作者: 春の嵐
二章.鳥籠
15/29

11話:紅白交わる

連盟軍少将:サマル・ラッケンドー:男:42歳

   中将:リーン・シュヴァルク:女:46歳

西部総司令:ソート・ドラグネイト:男:59歳

異能対策本部所属:ラッタ・ガリアード:男:29歳

        :ジェームズ・ディメンソン:男:33歳

第二遊撃隊隊長:シャルル・ド・メリアーデ:男:22歳


あらすじ

ピューリ川中流で敵の猛攻により戦線が突破されたことを知ったハリコフは、自分が現地へ赴くことを決意。皆を救う作戦を行うために、連盟が誇る2つの遊撃隊に対し伝令を飛ばすのだった。

サルーディア丘陵北部にてーー


すでに集まっているリエ隊、シャルル隊のもとに俺は到着した。運転手に軽く礼を言い、ドアを強く叩き閉めすぐ天幕に向かった。 

天幕に着き、勢いよく扉を開ける。


「お、きたきた」

「来たな……好敵手(ハリコフ)……!」

リエとシャルルが待機していた。各々持っている情報を交換し合っていたようだ。


「すみません、遅くなりました」

「全くだ、レディ(リエちゃん)を持たせるなんて言語道断だぞ! 参謀部員である君はそれを理解しているのか!?」

「謝っているじゃないですか! それと、今は異能対策本部所属ですよ……」

ため息をつく。俺が苦手なのはこういうところだ。この熱血貴公子(シャルル)は何かあればすぐ小言を言ってくるのだ。しかも俺限定。理由は未だに分からないが、どこかでリエに対して好意を持っている、なんて聞いたことがある気がする。……そのせいか?

危うく思考が脱線しかけるところで、リエが仲裁(助け)に入る。


「まぁいいじゃないですかシャルルさん、私別に気にしていませんし。それよりも、今はこの先の友軍ではありませんか?」

「それもそうだね! さすがリエちゃん!」

おい、明らかに俺のときと態度が違うぞ。脳内で突っ込む。リエを見やると愛想笑いを(ドン引き)していた。あのリエに愛想笑いをさせるとは、さすがはシャルル(恐れ知らず)といったところか。


「それで? 私たちをここに派遣してきたのだ、それ相応の目的があるのだろうな?」

シャルルが尋問してくる。その目線にめげることなく、俺は不敵に笑う。


「はい、二人の隊にしか頼めない重要な役です。それはーー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

一方、包囲下の第五師団で。


「クソ、倒しても倒しても湧いてくる……」

迫る敵兵を斬り倒し、包囲下のサマル少将は呪詛(じゅそ)を吐く。不意打ちで襲ってくる刺客を、地中から生み出した岩礁で跳ね飛ばす。目の前には焼けた森と赤く染まった肉塊(元戦友)が散らばっている。どちらの軍のものかも判別つかない。かれこれ2日間はこんな戦いを続けている、限界だ。

末端の部隊に退却指示を飛ばそうとし、敵狙撃兵の集中攻撃で戦友は燃え盛る炎の中へと消えていった。

「……クソッ!」

歯噛みしながら、全隊に何度目かも分からない後退命令を出そうとした瞬間。


戦場を、純白で統一されたマントを背負う部隊が駆け巡る。瞬く間に、敵に対し熾烈(しれつ)な攻撃が始められた。防御力のある前衛は烈風や爆炎で吹き飛ばされ、狙撃兵の眉間には1発の銃弾が撃ち込まれる。反撃することもままならず、敵部隊は壊走を始めた。


「あれがシャルルの"白撃隊"、間近で見るのは初めてだな……」

サマルは呆然とその光景を見届ける。いや、今はこの機会を無駄にしてはいけない。即座に生き残った兵を集め、部隊を再編成する。その最中で。


前線に爆発が起き始める。目を凝らしてみると、赤い粒子が広がっていくのを確認できた。紅いバンダナを腕に着けた兵が敵を蹴散らす様も見える。

「リエの隊も……まさか、両遊撃隊が加勢に来たのか!?」


死を覚悟していた部下たちの目に希望が宿る(光が戻る)のを感じる。事実、彼の心の内も高揚していた。この局面での加勢は、神の救いにも感じる。だがーー


「なぜここに……」

一つの疑問が浮かび上がる。正直言ってここは死路だ。残れば帰れない地獄への道。そんなところにわざわざ貴重な遊撃隊を送るなんて……

思考を続けていると、敵軍を追い払ったのか両隊長が自分の前に現れる。シャルルが率先して挨拶をしてきた。


「サマル少将、お久しぶりです」

「あぁ、二人とも、救援感謝する。このままではこの部隊は全滅していたところだっただろう」

感謝の意を述べる。だが、それはそれとして、だ。


「しかし、なぜこちらの加勢に? 殲滅(せんめつ)されかけて兵の少ない我らよりも、主戦線に加勢するのが得策と思っていたのだが……」

率直な疑問をぶつけると、顔をしかめるシャルルに変わってリエが説明をしだす。


「救援も主要目的の一つなのですけど、ここに来た最大の理由は反撃作戦のためなのです」

「反撃作戦? ここからか?」

「はい、ハリコフの案なのですけど。そしてあなたがたはその"鍵"となる役割を担ってもらいます」

その言葉を聞き、胸が高鳴る。やられてばかりで絶望が我らを支配していたが、ようやく反撃が始まるのだ。それも我らを起点に。


武者震いするサマルを見て、シャルルは楽しそうに呟いた。

「さて、鷲狩りの開始といこうか」

6月1日 ようやく10話を突破した。この調子で引き続き続けよう。挿絵にも取り組んでみようか。

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