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【独り立つ】  作者: 春の嵐
一章.カオス
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8話:初戦闘.終 連邦視点

あらすじ


立ちはだかる双鷲を前に、リエ達は苦戦する。即座に撤退を判断し、彼女の部隊は鮮やかな撤退戦を開始した。リエ自身も「死なない」と言うハリコフとの約束を守り、彼らを撃退することに成功する。結果的に、サシルの戦いは連盟側の圧勝で終わるのだった。

ピューリ川より東に十数キロ、都市ファシーカ郊外にて。


俺は治療を終え、部下とは離れた場所で一人座り込んでいた。空を見上げてみる。夕暮れだ、星空になるにはまだ遠い。

「……」

ただただ見上げる。視界に暗い夕闇が広がっていく。

すると、誰かの足音が近づいてくるのを感じた。斧を手に取り神経を集中する。


「こんなところにいたのか、探したぞ、マーク」

「……アキラか」

斧を手放す。

「なんの用だ?」

「別に。水を手渡しに来てやっただけだ」

「あぁ。助かる」

アキラから投げ渡された水筒を手に取り、一気に飲む。傷を負った体に水が染み渡るのを感じた。

飲み終わると同時に、アキラが尋ねてくる。


「損害、どの程度だ?」

「あぁ、あの弾幕は痛かった。1割ぐらい死んじまったな……手塩にかけて育てたというのに」

苦虫を噛み潰したような気持ちになる。戦友の遺体と顔を見たとき、胸が泥で埋められるような感じがした。あのクソみたいな感覚はーー


「2度と、したくねぇな」

「……あぁ、こんな負け戦、もう2度と」

ピューリ川の向こう、反乱地域に目を向ける。その先にいる、あの憎たらしい女兵士に。


敗北を知った双鷲(そうしゅう)の目に、静かに、されど消えない青い焔が宿った。


その焔を少し離れた場所で見届けたもう一つの影があった。連邦軍の通信兵が、トランシーバーを手に取り、何者かに連絡を入れる。その者は尋ねた。


(ーー首尾はどうだ?)

「はっ。おっしゃる通り、今回の負け戦を経て、唯一足りていなかった強い"決意"を手に入れたようです」

(ーーそうか、わざわざ中将を犠牲に行った甲斐があったな。そのおかげで目の上のたんこぶである保守派の一員も陥れ、地盤を切り崩すこともできた、反乱軍共にしては上々の出来だな)

「はい、引き続き監視を行います。全てはファミナスの繁栄のために」

(ーーあぁ。では切るぞ)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


カチリ、と通信が切れる。

暗闇に包まれた会議室の中、アリオス連邦軍元帥は無表情のまま静かに受話器を置いた。組まれた指の隙間から、冷徹な眼光が妖しく光る。

(そうだ。全ては我が国の、繁栄のために。計画の邪魔は全てーー)


誰も知らない水面下で、巨悪な計画は進み続けていた……。

5月26日 アリオス……すでにこのときから動いていたのだな。奴の冷酷さは、間違いなく我がガーディア独立に対する壁だった。

判断が一つでも違っていたら……結果は変わっていたのかもしれない。

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