02-03.修行とお風呂
「ファイア! ボール!!」
「「ぐわぁ!!!」」
アルバお姉ちゃんは、炎を纏った拳でルクス君と騎士様を纏めて薙ぎ払った。
……ファイアボールってあんなんだっけ?
「ストーン! ランサー!!」
間髪入れず、今度は足を岩の槍で覆って飛び蹴りをかますお姉ちゃん。
「「がはっ!?」」
再び吹き飛ぶルクス君と騎士様。
お姉ちゃんが二人に「ちょっくら稽古をつけてやろう♪」なんて言い出したのはつい先程のことだ。
咄嗟に逃げ出そうとしたルクス君の襟首を掴み、強引に稽古を始めたお姉ちゃん。
二人がかりでもお姉ちゃんには指一本触れられない。最早勝負になってすらいない。まさしく稽古だ。打たれ強さは鍛えられそう。
勇者様よりお姉ちゃんの方が断然強かった。びっくり。
意外と騎士様も奮闘している。反応出来ているわけではないのだけど、何故だか勇者様より打たれ強いのだ。
ルクス君と違って殆ど避けられていない。その代わりに、正面から攻撃を受けても何故か踏みとどまれてしまうのだ。
それがかえってお姉ちゃんの感心を引いているのは、本人としても甚だ不本意なことだろうけれど。
「いいね♪ いいね♪ 根性あるじゃない♪」
お姉ちゃんの攻撃はますます苛烈になっていく。最早二人は耐えるだけで精一杯だ。
そのままお姉ちゃんが満足して稽古を終えるまで、攻撃に転じるチャンスは一度たりとも訪れなかった。
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「ふぃ~♪ 久々にいい汗かいたわ~♪」
「「ぜぇーぜぇー……ハーハー……」」
いっぱい遊んで大満足なお姉ちゃん。
息も絶え絶えなルクス君と騎士様。
「風呂でも入りたいねぇ~」
「お風呂ぉ!?」
「お♪ ナズナもかい♪」
「うん! 入りたい!!」
「じゃあちょっくら待ってなよ♪」
お姉ちゃんはそう言って、少し離れたところに立った。
「はぁっ!!」
気合一魂。
凄まじい迫力で地面を殴りつけると、まるで驚いて飛び上がるかのように、地面から土壁がせり上がってきた。
円形に立ち上がった土壁の向こうからは、モクモクと湯気が立ち上り始めた。
「おいで♪ ナズナ♪ 騎士ちゃんも♪」
おいでと言いつつ、こちらに戻ってきたお姉ちゃんは、疲れて立ち上がれない騎士様を抱えあげて、再び土壁の方へと引き返していった。
私も後に続く。
「ブルーノ。見張りは任せたよ♪」
「うむ」
「ルクス! わかってるね! 覗いたら承知しないよ!」
「誰がするか!!」
ルクス君って、お姉ちゃんには年相応の弟らしい態度だよね。ふふ♪ 仲良し姉弟だ♪
微笑ましいけど、今はそれよりも! だ!
お風呂~♪ お風呂~♪
『羨ましいのだわ。入ってみたいのだわ』
こればかりはね~。
『まあいいのだわ♪ ナズナが入るだけで十分なのだわ♪』
ティア……健気……。
『ナズナの心を観察するのだわ♪』
そっちかい!
「なんだいこれ」
「自分で……脱げる……」
騎士様も逃げるつもりはないようだ。素直に軽鎧を脱ぎ始めた。
……あれ?
「ナズナ? どうしたんだい? 恥ずかしくなっちまったのかい?」
「いや……あれ? なんで?」
服が脱げない? どうして? 今までこんなことなかったのに?
「うん?」
お姉ちゃんも首を傾げている。私の服がまるで身体に張り付いたみたいに、固まってしまっているのだ。
「いつもこうなのかい?」
「ううん。普通に脱げてたよ」
これじゃあお手洗いも行けないよぉ~……。
「……魔術?」
「わかんなぁ~い」
もしかしてお姉ちゃん、私の力の秘密も探れたり?
「……騎士ちゃんは何か知ってるかい?」
「……なにも」
ほれチャンスだぜ♪ 今のうちに私の力の秘密を暴いちゃえ♪ そうすれば追っかけ回さなくても済むかもだぜ♪
……というか助けてくださぁ~い!
うわぁ~ん! お風呂入りたいよぉ~!
「もうこのまま入っちまいな♪」
「それだぁ!」
ざっぶ~ん!
「うべ~……なんも感じないぃ~……」
完全防御形態だぁー! こんなの初めてだぁー!
ちっきしょーーーーーーー!!!




