04-09.拗らせコンプレックス
「にゃふ~ん……♪」
ナデナデ。
『ナズナ! ナズナ! いい加減にするのだわ! その女の耳から手を離すのだわ!!』
え~♪ いいじゃ~ん♪ モフモフだよ~♪ ティアも一緒に触ろうよ~♪ デヘヘ~♪
『ナズナ!!』
も~。怒りんぼだな~。
『これは嫉妬なのだわ! 独占欲なのだわ! ナズナの行為は浮気なのだわ! 正確に認識するのだわ!』
あらま。
まさかそこまで拗らせてたなんて。
『少しはわたくしの気持ちも考えるのだわ! ずっと触りたくても触れないのだわ!』
けど騎士様やユーキちゃんやお姉ちゃんと触れ合っても怒らないよね?
『だから最初から言ってるのだわ! モルモルだけはダメなのだわ! わたくしが気に入らないのだわ!』
なんて素直な相棒ちゃんなんでしょ。
『ここまで言わなきゃわからないナズナが変なのだわ!』
変てなにさ。語彙力下がってる?
『余裕がないのだわ! 必死なのだわ!』
ごめんて。
しゃあない。嫁がむくれるから憩いのペットタイムはここまでだ。
『そう! 嫁なのだわ! わたくしこそがナズナの一番なのだ!』
あらま。そこまでいっちゃう?
『責任取るのだわ!』
大丈夫? 後で恥ずかしくならない?
私嫌だよ? ティアが顔も合わせてくれなくなったりしたらさ。
『真面目に受け取るのだわ!! わたくし本気なのだわ!』
私もだぜぃ♪ 愛してるぜ♪ ハニー♪
『はうあっ!?』
なんて?
あれ? ティア? お~い。ティア~?
……。
なんだよも~。居なくなっちゃったじゃんか~。
だから言ったのにさ。後で恥ずかしくなるよって。
ほれみろ。いわんこっちゃない。
……ティア? 本当に出てきてくれないの?
……。
…………。
………………。
……泣いちゃうぞ?
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「これから尋問を行います」
「なんなりと! ですわ! ナズナ様!」
え~。ちみちみ~。尋問受ける態度じゃなくな~い?
もっと良い声で鳴いてくれたっていいんだぜ♪
『浮気なのだわ』
あかん。嫁が帰ってきた。
ごめんね、猫ちゃん。うちのお嫁さん束縛激しいから。
『ジロリ』
「……ごほん。えっと……何か聞きたいことあったっけ?」
もう無くない?
自分で言い出しておいてなんだけど。
「スリーサイズは! 上から!」
ごくりっ!?
『ナズナぁ!!』
「い、要らないよ。そんな情報」
「あらそうですの? チラチラ見ていらしたから気になっているのかと♪」
……くっ。
『ぐすん……』
「ないって。ないない。興味無い。そうじゃなくてさ。私たちには珍しいんだよ。その格好。ほら。私人間だからさ」
そんな痴女みたいに露出してる人っていないからね。この世界の人間ってさ。
「……え? 今なんとおっしゃいましたの?」
「興味無いって」
……うん?
「違いますわ。その後ですわ」
「その格好」
「その更に後ですわ」
「私人間だからさ」
「……えぇ!? え!? 本当に本当ですの!? 人間なんですのぉ!?」
えぇ……。なんで驚いてるのぉ……。
「別に人間って珍しくないよね? ねえ、ユーキちゃん」
だってそこら中に居るじゃんさ。この魔族領でも。
「いえ。私の知る限りナズナ……だけですが」
うん? え? どういうこと?
わざと惚けてる? 騎士様もだって知ってるじゃん。
『わざと惚けているのは間違いないのだわ。モルモルの前でべらべら喋りすぎなのだわ』
あ、そういう。
いや、問題はそこじゃなくて。
「一見すると人間のように見える者もおりますが、彼らは全員魔族です」
……え~? マジ~?
「ナズナのイメージするような、魔族的特徴を持たぬ者たちの多くは、そう大きな力を持ち得ません」
ユーキちゃんは角生えてるよね。わかりやすく。あと尻尾と翼も。普段隠してるけど。なんていうか、悪魔って感じの見た目なんよ。ちょーぷりちー♪
「そのような事情もあって、人に近い容姿を持つ者程、侮られやすいのです」
「え? じゃあモルモル弱いの?」
尻尾と耳だけだもんね。ライオン要素。
まあ、それ言い出したらユーキちゃんだってどっこいだけども。
だからあくまで侮られるってだけで、力に直結するわけでもないのかな?
「実際兄二人と比べるなら圧倒的な弱者です」
あらそうなの。一応影響はあるんだ。
それはそれとして、強い人は強いって話かな。
「ず、頭脳労働担当ですのよ……」
言う程頭も良くなさそうだけど?
なんか聞いてる感じ、黒獅子の方が賢そうなんだよね。そっちはユーキちゃんもちゃんと警戒してるし。アルバお姉ちゃんにも攻め込む前に兵力を整えるよう進言してたし。それはそれとして、黒獅子は嫌われ者みたいだけど。でも全員からってこともないよね。少なくとも魔王候補として最後まで残るだけの求心力は持っているわけだもんね。当然頭脳や力も相応なのだろう。
『モルモルはコンプレックスを抱いているのだわ』
お兄さんより自分の方が賢いからこっちに来たみたいな口ぶりだけど、もっと魔族の本能的な判断だってことだよね。
『その通りなのだわ。理屈は後付なのだわ。中々動き出さない黒獅子に痺れを切らして出てきてしまっただけなのだわ』
黒獅子も苦労してそうだぁ。
『余計なものを抱え込んでしまったのだわ。早く捨ててくるのだわ』
いやいや。きっと役には立ってくれるよ。でないとユーキちゃんが追い出していると思うし。
『悪いこと考えるのだわ』
ふふふ♪ ティアの協力も必要不可欠だぜ♪
『任せるのだわ♪』




