04-08.一方的な探り合い
「ねえ、モルモル」
「あら♪ 可愛らしい渾名ですわね♪」
お気に召して頂けたようで何より。
「モルモルはゼルガディアの妹なんだよね?」
「それが? もしや兄上を知ってらっしゃるんですの?」
「うん。倒したの私だから」
「「「!?」」」
あれ? 騎士様とユーキちゃんも驚くの? モルモルだけじゃなくて?
「それでも本当に私の下に付くの?」
「……それが真実であるならば尚の事ですわ」
信じてなさそう。
「ナズナ。今の話は本当なのですね?」
こっちは信じてそう。流石ユーキちゃん♪
「正確にはもう一人の私が……だけどね。ユーキちゃんも知っての通り、こっちの私は無力だよ。無敵なだけで」
「納得です」
だよね。ユーキちゃんはトリスティアの超絶技巧に驚いてたし。そこから類推すれば、トリスティアの実力も推して知るべしだよね。
「……本当なのですわね」
「間違いありません」
ユーキちゃんが断言すると、モルモルと騎士様の視線も明らかに変化した。私の言葉は信じてくれないのに、ユーキちゃんの言葉は一発で信じるんだね。ぐすん。
「やはりあなた様こそが」
「そういうのいいから。私の下にはついてもらうけど、王と崇めるのは灰燼だよ。私はあの人に恩があるの」
「畏まりましたわ。仰せのままに。ナズナ様」
なんか目がキラキラしてる~。
自分の兄を倒した人に、どうしてそんな視線を向けられるのだろうか。これが魔族の当たり前なのだろうか。
「ユーキちゃん。モルモルの裏切りを防ぐ方法ってある?」
「必要ありませんわ」
「ユーキちゃんに聞いてるの。モルモルは黙ってて」
「……はい。ナズナ様」
しゅんとしちゃった。尻尾と耳が伏せられちゃった。
ちょっと可哀想なことしたかな?
「心配は要りません。ナズナ」
「そう? ユーキちゃんがそう言うなら信じるよ」
「はい。万が一の際はワタシの責任で始末を付けます」
「なっ!? そんなことありえませんわ!!」
今度はめっちゃビビってる。耳と尻尾が逆立ってる。
モルモルってわかりやすいよね。
『ユーキは本当に何者なのだわ?』
さあね。知らなくてもいいよ。別に。
「どうか信じてくださいませ! ナズナ様!!」
そんな急に必死になられたら逆に怪しいじゃない。
『けどこれは本気で怯えているのだわ』
不思議なこともあるもんだね~。
わざわざ自分から敵の懐に潜り込んできたのにさ。
「なら一つ質問に答えてもらおうかな」
「なんなりと!」
「『灰燼』の二つ名を付けたのは誰? その魔族は彼の正体を知ってるの?」
『二つなのだわ』
あらまうっかり。
「……質問の意図がわかりませんわ」
「なら答えだけくれたら良いと思うよ」
ユーキちゃんならすぐに察してくれるのに。さてはあんまり頭良くないな?
『ユーキの察しが良すぎるだけだと思うのだわ』
最高の配下だね♪ もちろん騎士様も♪
「……おそらく灰燼本人ですわ」
「そっか。つまり知らないんだね」
「も、申し訳ございません!!」
そんなビビらなくても。
「ユーキちゃん。モルモルが灰燼の正体を探ろうとしたら始末して」
「はい。ナズナ」
「!?」
可哀想に。モルモルったらもう泣きそうじゃん。
『虐めすぎなのだわ』
なんだかゾクゾクしちゃうよね♪ セクシー猫科耳美女がモジモジしてるのって♪
『モルモルだけはダメなのだわ。認めないのだわ』
ふふ♪ 別にそんなんじゃないって♪
「モルモルって、実は黒獅子にも信頼されてなかったんでしょ」
「間違いありません。彼は臆病故に卑劣で狡猾です。実の妹であろうと信頼して全てを明かすことはありません」
「……」
すっごいショック受けてらっしゃる。実際裏切ってこっち来ちゃったくせに。
『凄いのだわ。ナズナが覚醒したのだわ。モルモル相手ならパーフェクトコミュニケーションなのだわ』
え? なんで?
自分で言うのもなんだけど、虐めてただけだよ?
『完全に手綱を握ってしまったのだわ』
いっそ首輪でも付けてあげようか。
『それはダメ。なのだわ』
あはは♪ ティアったら♪




