04-06.王たる証
「やっちゃえ! 騎士様ぁー!」
今日も今日とて魔族狩りじゃぁ~~!!
『ただの辻斬りなのだわ。そろそろ怒られるのだわ』
誰にさ。襲われた当人たちだって、むしろ嬉しそうに仲間に加わってくれるじゃんさ。
『魔族はポ◯モンみたいな存在だったのだわ』
どちらかと言うとド◯クエじゃない? ボールなんて使ってないし。仲間になりたそうにこっちを見つめてくるし。
「くっ!」
あ、やばい。騎士様ピンチだ。
『今回の相手は強いのだわ。このままじゃ負けるのだわ』
ふっふっふ♪ 我に秘策あり♪
「ユーキちゃん」
「お任せを」
騎士様の身体を闇が包み込んだ。
「な、なんだと!?」
「はぁっ!!」
「ぐわぁっ!!」
一瞬だった。急激に身体能力を上げた騎士様が、一太刀で敵を斬り伏せた。
「……何故トドメを刺さぬ」
膝を付き、それでも尚、力強く騎士様を睨む牛頭の魔族。
「我が主の御本に降れ」
剣を向け、静かに答える騎士様。
「ハロハロ~♪ あなたも私たちの噂は聞いてるでしょ♪」
「……灰燼の……よかろう。あなた様に従おう」
「ありがと♪ えっと? お名前は? 私はナズナ♪ 気軽にナズナちゃん様って呼んでね♪」
「……ゴズ」
「ゴズっちね♪ よろ~♪」
よしよし♪ 物わかりがよくて何よりだね♪
『全然仲間になりたそうな目なんてしてないのだわ』
まあまあ♪ そんな時もあるさ~♪
『後ろから刺されても知らないのだわ』
あらあら♪ そんなの不可能だってわかってるくせに♪
『力の差が証明出来るのだわ』
だねだね♪ こうして堂々と姿を晒すのも大切だぜ♪
『急ぐのだわ。いいかげん敵も動き出すのだわ』
さあさあ♪ サクサク行きましょう♪
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「いっぱい集めたねぇ~」
あれ? お姉ちゃんちょっと引いてる? まさかね~。
今は炎で全身覆ってるから、表情とかわかんないや。
「ナズナちゃん軍団です♪ どうぞお納めください♪ 全ては『灰燼アルバトロス様』のために♪」
一斉に跪くナズナちゃん軍団。
王都中の「これは」と呼べる魔族たちを勧誘して回ったのだ。その辺りの情報もユーキちゃんに集めてもらった。
魔族たちの個人情報は筒抜けだった。どこの飲み屋に出入りしてるとか、通勤経路とか、家族構成とか♪ そこまでわかればあとは簡単♪ 夜道でサクッと声掛け事案だ♪
そうして数日中に、百にも及ぶ部下たちを集めてみたぜ♪
後は頑張ってね♪ お姉ちゃん♪ 私も出来る限りのことはしてあげるけど、私だけじゃ繋ぎ止められないから。私かこの中の誰かが王都を出れば、きっと忘れてしまうから。
いずれはお姉ちゃんがこの軍団を率いるんだよ。今だけだよ。代わりを務めてあげるのはね。
「これで最低限は戦えるよね♪」
「ああ。十分さね。よくやったよ。側近長」
「将来は宰相に任命してくれてもいいんだぜ♪」
「もちろんさね♪ 末永くアタシを支えておくれ♪」
やったぜ♪ 成り上がりだぁ♪
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「ユーキ……そうか。奴が戻ったか……」
「奴は危険ですわ。この私に討伐をお任せくださいませ」
「……ならぬ。今お前まで失えば覆されかねん」
「信じては頂けぬのですわね」
「そうではない。相手が悪い。それだけの話よ」
なんとも情けない。やはり兄上とは違う。所詮この男では器足り得んか。
灰燼はどうだろうか。いっそ自ら降るのも手か。
「愚かな真似はするな。くれぐれも」
「御意」
調べてみよう。灰燼の右腕とやらも気になる。
現在ユーキ……ユースティキアは、かの者に従っているという。これは間違いなく意図的に撒かれた噂だ。彼女程の者が主と定めた相手だ。当然誰もが興味を抱くだろう。次期魔王として相応しい者なのだと思うだろう。だからこそ、灰燼の勢力は急激に拡大を続けているのだ。
愚かにも……或いは賢明にも、ユースティキアをこの王都から遠ざけた小物とは違うのだ。
あの者こそが要だ。ユースティキアは灰燼ではなく、その右腕を主と定めた。そこには必ず意味がある。彼女が主と定めるのは『魔王』以外にあり得ない。それが彼女の正義だ。
そして私にとっても。皆にとっても。
真の魔王足り得る者にこそ価値がある。




