04-03.再会
「継承争いも佳境だそうですよ」
ユーキちゃんが、通りがかりの町で情報を集めて教えてくれた。
次の魔王候補は早くも残り二人まで絞られたそうだ。
「一人は『黒獅子ベルファディア』。ナズナも会ったことのある、ゼルガディアの弟です。そしてかつての彼と同じく、先代魔王時代には四天王の一人を務めていました」
へ~強そう。
「もう一人は『灰燼アルバトロス』」
……うん? アルバ?
「突如として現れた謎の魔族。全身を常に炎の鎧で覆っていて、その素顔を見た者は誰一人として存在しません」
……まさかねぇ?
「……まさかだ。そのまんまではないか」
騎士様? やっぱり同じこと考えてる?
まさかだよね。偽名にしたってそのまんま過ぎるもんね。
「アルバトロスについて他に情報はあるか?」
「いえ。今伝えたのが全てです」
「ナゾダネ~」
『ナノダワ~』
……なにやってんのさ。アルバお姉ちゃん。
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そこから更に数日後。私たちは無事王都へと辿り着いた。
魔王国の王都グランファリスは、今まさにお祭り真っ只中だった。
人々は次期魔王への期待と、来る決戦への話題でもちきりだ。先代魔王の死を嘆く者は見当たらない。誰もが純粋に今と未来を楽しんでいる。
これが魔族として当たり前の在り方なのだ。
これを薄情だなどとは言うまい。
単に常識が違うだけだ。郷に入っては郷に従えだ。
「お♪ 嬢ちゃん♪ 王都は初めてかい♪」
お上りさん丸出しだったかな?
屋台のおじさんに声を掛けられてしまったぜい♪
「そんな嬢ちゃんにはこの仮面がお勧めだ♪ どうでい♪ 一つ♪ 嬢ちゃんも仮面を付けて次の魔王様を応援だ♪」
ふぁ~~~! かぁ~っくい~!
「アルバトロス!」
「へいよ♪ 嬢ちゃん見る目あるねぇ♪」
『後々問題になりそうな発言なのだわ。ベルファディアが勝利したら打首にならないのだわ?』
流石に大丈夫でしょ。他にも仮面を身に着けてる人はいるし。そんなの気にしてたら王都の何割かが罪人だよ。
『それもそうなのだわ』
「何を買っているのだ」
「あ! おじさん! やっぱ三つ!」
「へいよ♪ まいどあり♪」
「……付けぬぞ」
「顔に付ける必要はありません。腰でも構いません。それと逆に身に付けていない方が目立ちますよ。クラウ」
「……そういうものか」
「はい♪ そういうものです♪」
ちゃんと政治に興味があるよって示すんだね♪ 選挙は必ず行かなきゃダメって前世のばっちゃが言ってた♪
「ふっはっはっはっは♪」
どうだー♪ かっこいいだろー♪
「よっ! 似合ってるぜ♪ 嬢ちゃん♪」
「でっしょ~♪」
「行くぞ。ナズナ」
「は~い♪ じゃあね~♪ おじさん♪ ありがと~♪」
「おう♪ 嬢ちゃんも楽しんでな~♪」
「う~ん♪」
気さくな屋台のおじさんに別れを告げ、私たちは王都観光に乗り出した。
「何をやっている。目的を先に果たすぞ」
えぇ!? 美味しいもの食べないの!? 屋台もいっぱいあるのにぃ!?
「アルバトロスに会う方法はあるか?」
「継承争いの最中はいつでも配下を募集していますよ」
大丈夫なの? 敵の工作員とか忍び込んでこない?
「任せてください。ワタシが話を付けてきます」
コネとかあるのかしら? それとも忍び込んで何か仕掛けるのかしら?
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「クラちゃん!? わざわざ来てくれたのかい!?」
アルバお姉ちゃんはアルバお姉ちゃんだった。
もとい。アルバトロスはお姉ちゃんだった。やっぱり。
それと私には気付いてくれなかった。やっぱり。
『……』
大丈夫。騎士様と同じだよ。また新しい思い出を作っていくからさ。
『……そうなのだわ』
うん♪
「お控えなすって! 手前、日ノ本の生まれ、姓は七草ななくさ、名は菜沙なずなと発します。この度は身に余るご厚意を賜り、誠にありがとうござんす。手前、七草の菜沙ぁ〜。先の御恩は、たとえこの身が泥にまみれ、骨が砕けようとも決して忘れはいたしません。生涯を賭してお返しいたす覚悟にござんす。以後、万事よろしくお頼み申します!」
「あはは♪ 面白い子だねぇ♪」
ふふふ♪ 掴みはバッチリ♪
お姉ちゃんたら前と全く同じこと言ってくれるんだから♪




