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【完結済】不可侵少女は触れ合いたい  作者: こみやし
03.騎士と悪役の再出発

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03-09.理解者


「ふんっ! 手こずらせおって!!」



 くっ! 不覚!!


 こんな豚さんに捕まってしまうとは!!



「だぁ~れが豚じゃぁ!! この無礼者がぁ!!!」


 あら? 口に出てた?



「刮目して見よ!! この鍛え上げられし肉体を!!」


 うわ!? いきなり脱ぎだした!?


 てっすごぉっ!? 何あれ!? 筋肉ダルマだぁ!?



「ふぁっはっは! そうじゃろう♪ そうじゃろう♪ ワシの肉体は凄かろう♪ ふんぬ!!」


「お~~~!!」


「はっ! そいや!!」


「もっともっと~♪ ひゅ~ひゅ~♪ 領主様~♪」


「はぁっ!!」


「きゃ~~♪ 素敵~~~♪ かぁっくい~~~♪」


「ふぁっはっはっはっはっは!!」




----------------------




「「……どうしてこうなる」」


 どうしてだろうね。不思議だね。


『ナズナのせいなのだわ』


 そんな悪いことしたみたいな。


 別にそんなこともないでしょう?



「ふぁっはっはっは! よいよい! 遠慮するでない! 腹が減っておろう! 喰らえ喰らえ! 肉を付けるのじゃ!」


「領主様って、もしかしてあんまり悪い人じゃない?」


「なんじゃその問いは。善悪なんぞ立場に応じて変わるものじゃろうが」


 あらま。意外と話のわかるお方。



「けどロリコンなんでしょ?」


 ロリコンは悪。間違いない。



「ろりこんとはなんじゃ?」


 あれ? 知らないの? 衛兵隊長さんには通じたのに。



「小さい魔族の女の子が好きなんでしょ?」


「なんじゃ。その話か」


 なんじゃて……。



「ここだけの話じゃがな」


「領主様!!」


「よい。元よりワシはこのような策なんぞ好かんのじゃ」


「しかし!」


「くどい!!」


「ははっ! 申し訳ございません!!」


 凄い迫力。



「魔族の少女を集めておるのはワシではない」


「というと?」


「それは言えん」


 あら。一応は口を閉ざすんだ。



「目的は戦争の駒とすることじゃ」


 そっちの方が言っちゃダメなやつじゃない?



「魔族の女は高い魔力を持つでのう。それを幼き少女の頃から育てることで忠実な駒とするのじゃ」


「ひぇ~……」


「安心せい。そやつは歳が行き過ぎておる。復讐心を拭えはせんじゃろ」


 なるほどね~。



「ならなんで追っかけてきたの?」


「当然じゃろうが。我が領都の目と鼻の先で民が殺されたのじゃ。奴は確かに碌でもない奴ではあるが、少なくともお前たちと違って罪人ではない。表向きにはのう」


 裏で何かやってるかもとは思ってるのね。



「だからってわざわざ領主様自ら追いかけてくるの?」


「それも当然じゃろうが。我が領都の間近に危険な魔族が出没したのじゃ。全力でこれを討つ。それが領主の務めじゃ」


 絶対違うと思う。それはこの領主様だけだと思う。



「だいたいお前たちもお前たちじゃ。衛兵隊長を洗脳なんぞしおって。余計騒ぎが大きくなるじゃろうが」


 洗脳? そんなことしてないよ?


 真実が言えないから惚けたのかな?


『たぶん違うのだわ。ナズナがあの町を離れたことでナズナの存在を忘れてしまったのだわ』


 ……ああ。そういうこと。


 回りの人たちからしたら意味がわからないよね。なんなら本人だってわけわからないよね。なんでユーキちゃんと騎士様を解き放ったのかわからなくなっちゃったんだろうし。



「術者はお前じゃな? 報告では三人とあったが、誰一人としてお前を覚えてはおらなんだ。固有魔術の類か? 全て話しておけ。それを以って償いとしよう」


 あら太っ腹。伊達に筋肉ついてないよね。



「本当にいいの? 追いかけられてる間にも怪我人や死者も出たんでしょ?」


「死者なんぞ出とらんぞ。我が精鋭たちを舐めるでない」


 お~。それは何より。



「くだらんことを気にしとらんでさっさと話せ。飯が冷めるじゃろうが」


「実はね」


 私はべらべら喋った。異世界人であることまで喋った。全ての秘密をぶちまけた。流石にスリーサイズは内緒だぜ♪ そもそも知らないけど。



「……ふむ。勇者の見立てとあらば間違いはあるまい」


 ルクス君が転生者であることまでは喋ってないけどね。手っ取り早く話を進めるために名前を出させてもらったのだ。


 魂が二つあるせいで魔術が制御出来ないなんてややこしい話、そうでもしなければ信じてもらえないかと思って。


 ありがとう、ルクス君。


 お陰であっさり信じてもらえたよ。



「おい。お前たち」


「「「ははっ!」」」


 すぐに数名の兵たちが馬に乗って離れていった。


 私の忘却を試してくれるつもりなのだ。どの程度離れたらそれが起こるのか、それぞれ別の距離の目的地まで行って戻ってくるそうだ。



「ありがとう。領主様。信じてくれて」


「よい。これよりお前たちは我が民じゃ。犯した罪の分くらいは働いていくがよい」


「「「ははっ!」」」


 騎士様とユーキちゃんも続いてくれた。


 ありがとう。二人とも。


 それからごめんね、ユーキちゃん。魔族領に帰れるのはまだ少し先になりそうだ。

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