03-08.追われる者たち
「あ~♪ 極楽極楽~♪」
「……貴様は何をやっている」
「あ♪ 騎士様♪ 騎士様も入る~?」
念願のお風呂だぜぃ♪
「……」
あら? 怒ってる?
「ナズナ!? 熱くないんですか!?」
ユーキちゃんも現れた。
慌てて私をお風呂……もとい、お鍋から引っ張り出した。
「あれ? 魔女さんは? 倒しちゃった?」
親切にもお風呂まで沸かして饗してくれたのに。
「あれは下級魔族です! ナズナを食べようとしていたのです!!」
あら。やっぱり?
可哀想に。追加の薪を取りに行ったところをバッサリやられてしまったみたいだ。なんまいだ~。
ユーキちゃんもごめんね。私のせいで同族と戦うことになっちゃったよね。
『心配要らないのだわ。わざわざ人間の領地で暮らすような奴だったのだわ。きっと魔族からしても碌な奴じゃなかったのだわ』
にゃるほど。
「服を着ろ。バカ者」
え~……もうちょっと入りたいなぁ~……。
「ちょっ!? どうして戻ろうとしてるんですかぁ!?」
だってほら。私無敵だから……そうだった。ユーキちゃんには言ってなかったね。
「ふふん♪ 私にはこれくらいが丁度いいんだよ♪」
「おい。追われているのを忘れるな」
ちぇ~。しゃあないな~。
「タオルある?」
「乾かします」
ユーキちゃんが魔法で熱風を起こしてくれた♪
「ドライヤーじゃん♪」
「? ただの魔術ですよ? ……ああ。それが人間の呼び方なんですね」
「こいつだけだ。一々真に受けるな。ユーキ」
「はい。クラウ」
あら? なんか仲良くなってる?
私の見てないところで何かあった?
「行くぞ。奴らは近くまで来ている」
待って待って! まだ服着てない!
「あれ!? 私の服は!?」
まさか燃やされちゃった!?
「じっとしていてください!」
「はい」
いつの間にかユーキちゃんが持っていた。
そのまま手際よく私の身支度を整えた。
何故だか妙に手慣れている。以前誰かのお世話係でもしていたのだろうか。
「クラウ!」
「行くぞ!」
「はい!」
騎士様を先頭に、私の手を引いたユーキちゃんが続く。
魔女の家を脱出した私たちは、追手から隠れながら、時には戦って退けながら逃げ続けた。
今度は騎士様も私の言葉を信じてくれた。衛兵隊長を手球に取ったことで、私に離れた場所の情報を得る手段があると証明されたのだ。
ティアの導きに従い、騎士様が道を斬り開き、ユーキちゃんが魔術で追手を妨害し、私たちは夜の森を駆け抜けた。
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「抜けたぁ~!」
森から出た頃には、既に太陽が登り始めていた。
結局夜通し駆け抜けてしまった。
「ナズナ! まだ油断しちゃダメです!」
はい! ごめんなさい!
『この辺りにはいないのだわ! 今のうちなのだわ!』
おうよ♪ ナズナちゃんはまだまだ行けるぜ♪
後半殆どユーキちゃんが抱っこしててくれたからね♪
足手まといでごめんなさい!
『問題無いのだわ! ナズナは索敵担当なのだわ! むしろ要なのだわ!』
そうだった♪ ティアは私の力だもんね♪
「ユーキちゃんは大丈夫? ここからは隠れたりも出来なさそうだよ?」
「問題ありません! 魔力で強化していますから!」
便利~♪
けど無理しないでね? 逆に言えば、魔力を常に使ってないと禄に走れもしないってことでしょ?
どっかで休めないかなぁ。追手もしつこいなぁ。
「ねえ、騎士様」
「ダメだ」
まだなんも言ってな~い~。
「囮なんぞに意味はない。そもそもお前一人で何が出来る」
凄い。ちゃんと伝わってた。
「私がいなきゃ皆逃げられなかったじゃんよぉ」
「お前一人でも逃げ切れまい。敵の居場所がわかったとて、駆け抜ける足が無ければ意味はない」
騎士様は剣を収め、ユーキちゃんから私を受け取った。
「行くぞ」
「はい! クラウ!」
まるで荷物みたいな扱いだ。ユーキちゃんはお姫様だっこしてくれてたよ? 騎士様も見習って? こんな肩に担ぐ感じじゃなくてさ。
『口に出さなきゃ伝わらないのだわ』
言えるわけないじゃんよぉ。
『ふふ♪ 良い子なのだわ♪ ナズナ♪』




