03-07.あっさり解決?
「本当なんですぅ! 信じてくださぁい!」
くらえ! うるうる攻撃だぁ!
説明しよう! うるうる攻撃とは!
『瞳をうるうるさせるだけなのだわ。説明するまでもないのだわ』
ボケ潰しはダメだってば!
『真面目にやるのだわ!!』
はい。ごめんなさい。
「嬢ちゃんよぉ。あんたとんでもねえことしてくれたなぁ」
ここはカツ丼でも出てきそうな取調室。
正面に座るのはうだつの上がらない雰囲気のトレンチコートおじさん……なんてことはなく、普通にちょっと不良な感じの衛兵さんだ。うだつが上がらないのは間違いなさそうだけど。いやいや。こんなでも隊長格ではあるのだろう。そういう人が出てくる案件っぽいし。どうやら。
「あの積荷はここの領主様のもんでなぁ。そらぁもう楽しみにしてらしたのよぉ」
「領主様はロリコンなの?」
「そら~もう。中でも魔族っ子にゃぁ目が無くてよう」
「私も狙われちゃう?」
「いや。範囲外だ」
「ならユーキちゃんも大丈夫だよね!」
「まあ~……な」
「大丈夫だよね!?」
「今んとこはなぁ~」
「ちゃんと守ってあげてよ! 男でしょ!」
「お、おう……おめえさん、自分の立場わかってんのか?」
「強盗殺人犯!」
「えばって言うこっちゃねえだろうが!!」
ガチ説教だ。
「だいたいおめえはよぉ!」
あかん……こんなことしてる場合じゃないのに……。
「だって! 先に襲ってきたのは向こうだよ!」
「それはそれだ! 信じてはやるがな!」
優しい。
「言ってんだろ! 問題は貴族の品に手を出したことだってな!」
「なら私が身代わりになる! だからここから出して!」
「おめえじゃ興味持たれねえとも言ったろうが!」
「コスプレでもなんでもするからぁ!」
「こす? なんじゃそら」
「変装! 私が魔族の格好して乗り込む!」
「……暗殺でもする気か?」
「うん!」
「あほかぁ!!」
平行線だぁ。
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牢に入れられて何日が経っただろう。
残念ながら二人とは別室だ。騎士様とは隣部屋だから話も出来るけど、ユーキちゃんはだいぶ離れたところに隔離されている。ティアが様子を見ていてくれているから、今すぐ処刑されたりってこともないようだけど。
どころか私たちより丁重に扱われているっぽい。領主がやっぱ欲しいって言い出したら引き渡さなきゃだからね。
このナズナちゃんの話術を以ってしても、衛兵たちの籠絡は進んでいない。私の無敵パワーも鉄格子の前では無力だ。
もちろんトリスティアに替わればどうとでもなるのだろうけど。ただそれをやると、最悪騎士様たちともお別れだ。
だからどうにか自力で脱出したいところだ。
「奴を呼べ」
「ダメだってば」
まったく。何を言い出すかと思えば。
「騎士様って一貫性が無いよね。私に誰も殺すなって言うくせに、自分はあっさりと斬り捨てるし」
ここで私がトリスティアに替われば、罪もない衛兵さんたちに犠牲が出る。そんなの許される筈がない。彼らはこれまで私を捕らえてきた悪人たちとは違うんだから。
「ユーキが死ぬぞ」
「それはさせない。もちろん騎士様だって殺させないよ」
「お前に何が出来る」
「話し合い」
「通用してないだろうが」
「そうだね」
「待っても好転はせんぞ」
「そうでもないよ」
きっとティアが何か見つけ出してくれるだろうし。
「何かを探っているのか?」
「うん。弱みでも握れないかなって」
「……執務室を探せ」
「どんな資料があればいい?」
「帳簿だ。報告書の控えと照らし合わせろ」
「わかった。ありがとう、騎士様」
「ふん」
ふふ♪
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「……おめえさん……それどうやって」
「ふっふっふ~♪ 私を甘く見ないことだね♪ 牢屋に居たってチョチョイのちょいさ♪」
「……釈放だぁ」
話がわかるねぇ♪
「いいか! 絶対墓まで持ってけよ! でなきゃ掘り起こしてもっぺん殺してやっからなぁ!」
「おじさんこそ程々にね。家族もいるんだから」
「くっ! 散々良くしてやったろうが!」
「だから何も言わないってば。本当に感謝してるんだよ」
「その結果がこれか! とんだ悪魔だなぁ!!」
「大丈夫♪ ナズナちゃん硬いから♪」
「絶対捕まんじゃねえぞ!」
「捕まっても言わないって♪」
「そういう問題じゃねえんだよ! さっさと行け! 二度と来んじゃねえぞ!」
「ありがとう♪ 隊長さん♪」
裏口からこっそりと抜け出す私たち。
そのまま無事に町を脱出し、魔族領へ向けて歩き出した。
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次回予告♪
衛兵隊長を脅して無事に逃げ出した私たち♪
これで罪も有耶無耶に?
もちろんそんなわけないですよねぇ~……。
そんなこともつゆ知らず。堂々と街道を歩いていると、背後から追手が迫って来た!?
どうやら領主の差し金みたい。
慌てて森に逃げ込んだものの、ここにはおっかない魔女が住むとかで……。
前門の魔女! 後門の追手!
ナズナちゃん大ピンチ!? いつものやつだぁ!
騎士様とユーキちゃんの活躍に乞うご期待♪
また見てね♪ ばいば~い♪
『さっきから何を言ってるのだわ? やっぱりストレスが溜まってるのだわ? 牢獄生活は堪えたのだわ?』
やっぱりさ。行く先々でこういう目に合うとね。心の一つや二つ病んで当然だよね。
『そうは見えないのだわ』
まるでナズナちゃんが狂人を演じているみたいな。
『逆なのだわ』
どういう意味やねん!?
『そうやって平静を保とうとしているのだわ。実際何故か上手くいってるのだわ。不思議なのだわ』
出た♪ 『不思議なのだわ』♪ なんだか久しぶりだね♪
『それよりどうにかするのだわ。この状況』
「きぃーひっひっひっひ♪」
あ~……ぐつぐつ煮立ってるねぇ~……。
『熱は感じるのだわ』
もしかして試してほしい?
『どうせトリスティアが出てくるだけなのだわ』
だよね~。困ったね~。
騎士様とユーキちゃん、早く気付いて助けに来てくれないかなぁ。




