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不可侵少女は触れ合いたい  作者: こみやし
02.勇者一行と行き倒れ

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02-09.vs金獅子


「ゼルガディアだってぇ!?」



「へ、へい! 間違いありやせん! 北の砦はそいつに落とされたんでさぁ!」


 チンピラトリオに案内された先でチンピラ集団のボスを伸したお姉ちゃん。


 平伏したボスは、テキパキとお姉ちゃんの質問に答えていった。



 ゼルガディアって誰かしら? お姉ちゃんの知り合い?


『魔王軍の幹部なのだわ!』


 ティアってなんでそういう事は知ってるの?


『情報収集は欠かさないのだわ!』


 なるへそ。たまに私から離れて調べてるもんね。


『側に居たって集まってくるのだわ! ナズナが聞き流しているだけなのだわ!』


 そんなつもりはなかったけど。やっぱり幽霊さんは見えてるものが違うのかしら?


『幽霊じゃないのだわ!』


 ごめんて。



「……マズイね」


 本当にマズそう。お姉ちゃんのこんな顔初めて見た。



「こいつぁ領主も問いただす必要があるねぇ」


 それが出来るなら最初からやっておけばよかったのでは?




----------------------




「仕方がなかったんだ!! 私たちは脅されていた!!」


 先制自供! &逆ギレ!!


 領主様ったら、勢いよく扉を開けて入ってきたお姉ちゃんが何かを言うまでもなく、ゲロっちゃった。



「行くよ! ナズナ!」


 アルバお姉ちゃんは、結局領主には何も言わず、私を抱き上げて窓から飛び出した。




----------------------




「くっ! 魔力が!!」



 勇者ルクスは危機に陥っていた。



「ふむ。勇者と言えど所詮はこの程度か」


「ブルーノ!」


「うむ!!」


 ブルーノの巨体が立ち塞がる強敵へと突っ込んでいく。



「はぁぁぁぁぁああああ!!!」


 勇者ルクスは彼の肩を蹴って飛び上がり、上空から剣を振り下ろした。



 迎え撃つのは金色の獅子だ。


 二足で立ち上がり、片手でブルーノを受け止め、もう一方の手で勇者の渾身の一撃を軽くいなしてしまった。



「がはっ!!」


 地に叩きつけられて剣を手放す勇者。


 その身体にはまるで力が籠っていない。


 いつもの膂力は見る影もない。


 莫大な魔力は何処に消えてしまったのか。



「くっ……!」


「ほう。まだ立つか」


 獅子は隠しきれない喜びを滲ませた。



「閣下」


「気付かれたか」


「はい。足止め致しますか?」


「抜かせ。貴様程度では時間稼ぎにもならんわ」


 ガッハッハと、部下の無謀を笑い飛ばす。



「よい。余興はここまでだ」


「はっ!」




----------------------




「ルクス!!」


 ルクス君が!? 磔に!? ブルーノさんも!?


 二人とも意識を失ってる!? あれ!? どうして!?



「騎士様は!?」


 いない!? なんで!? まさか!!



「待っていたぞ! 魔闘士アルバ!」


 ライオン!? 服着てる!? 魔族だ!



「ゼルガディア! 弟を返してもらうよ!」


「お姉ちゃん! 私を投げて!!」


「ナズナ!? っ! はいよ!」


 ちが~~~~う! そっちじゃな~い!!



 お姉ちゃんが私を投げたのは木の杭に磔にされたルクス君の方だった。


 私が言ったのはゼルガディアの方なのに! 恐怖による失神で暴走人格トリスティアに代われると思ったのに! いやこれも十分怖いけどぉ!!



「ぐはっ!?」


 ルクス君のお腹に頭から突っ込んでしまった。



「貴様ぁ!! 何の真似だぁ!!」


「どっりゃぁーーーーー!!!」


「ぐがっ!!」


 お姉ちゃんの飛び蹴りがゼルガディアの顔面に直撃する。


 そのまま獅子面を蹴ってくるくると回り、ゼルガディアと私たちの間に着地するお姉ちゃん。



「ナズナ!? 何故ここに!?」


 よかった! ルクス君が目覚めた! 作戦成功! 結果オーライ!



「くっくっくっくっく……ガッハッハッハッハッハ!!!」


 うわ。なんか突然笑い出した。こっわ。


『それどころじゃないのだわ! アイツ強いのだわ!』


 そうだった! アルバお姉ちゃんの一撃を受けてもピンピンしてるんじゃん!!



「魔力も無しによくやるものだ」


「これもあんたの仕掛けかい。似合わないねぇ。人質に罠だなんて。武人の風上にも置けないよ」


「その言葉は甘んじて受け止めよう」


「誰かの入れ知恵かい?」


「我が策だ」


「そうかい。今日こそ決着をつけようってんだね」


「うむ。本気でいかせてもらおう」


「デートの誘いはもっとスマートにやるもんだよ!」


 お姉ちゃんは地を蹴って殴りかかった。

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