02-06.転生者の秘密
「……」
ルクス君はあれから何やら考え込んでいる。
秘密を明かすべきか考えているのだろうか。
或いは私の現状に何か心当たりがあるのだろうか。
ルクス君はどうだったのかな。
こっちの世界に渡ってきた時。神様にでも会ったのかな。
何か特別なスキルを貰ったのかな。私もそうなのかな。
「ルクスが気になるかい?」
「え? うん。なんか心配かけちゃったみたいだし」
「ルクス!」
え? お姉ちゃん?
「なんだい? アルバ姉」
「あんた、ルクスじゃないんだね? 六つの頃から」
え? え……?
「……アルバ姉」
「別に責めちゃいないよ」
「……いつから気付いていたんだい?」
「六つの頃からだって言ってるじゃないか」
「……そうだね。ごめん」
「謝らんでいいのさ。なんとなく想像はついてる。あの病で元のルクスは死んだ。そういうことなんだろ?」
「うん。たぶんそうだと思う」
「けどあんたもルクスだ。アタシの可愛い弟だ」
「アルバ姉……ありがとう」
「なっはっは♪ そんな顔すんじゃないよ♪ これで話せるんだろ? ナズナを助けておやりよ」
「うん」
……。
「ナズナ。『七草 菜沙』さん」
ルクス君はこちらに向き直った。
「僕にももう一つの名前がある。君と同じだ。向こうの世界からやってきた転生者だ」
「……うん」
「どうやら気付いていたようだね」
「……なんとなく」
「ありがとう。菜沙。君は優しい人だね」
アルバお姉ちゃんのことまでバレているようだ。
「この世界の魔術ってわかりづらいよね」
「え、あ、うん。よくわかってないよ。説明は聞いたけど」
「魔力を使って起こした事象は全て魔術だ。そう覚えておけばいい」
「そっか。うん。それならわかりやすい」
「呪文や詠唱を介さずに起こす事象もある。たぶん君の力はそういったものの一種だ」
「うん」
「けれど君には肝心の魔力が無い。つまり維持し続けられる筈が無いんだよ。ましてやその効果を変えることなんて出来る筈がないんだ」
「……うん」
「君がその力を制御出来ないのは当然なんだ。そもそも魔力とは『魂』より生じるものなのだから」
「……つまり」
「そう。君の中にはまだ、本来の身体の持ち主が残っている。正確にはその残滓が。僕と同じようにね」
……。
「僕はルクスと話し合ったよ。本当の意味で一つになった。だから僕はルクスの『魔力』と『魔術』を扱えるんだ」
……ティア。
『おそらく真実なのだわ。それこそ転生者が魔力を扱う唯一の方法なのだわ』
……そっか。
『ナズナの魂は魔力を産まないのだわ。けれど勇者ルクスの魔力は常人の数倍に匹敵するのだわ。完全な融合を果たすことで、ナズナの魂も変質する筈なのだわ』
……だから転生者が存在するんだね。
『つまり手を加えた者がいる筈なのだわ。ナズナの言う神のような存在が、どこかで観察しているのだわ』
……そいつぁ、引きずり降ろさないとね。
『その意気なのだわ♪』
「ルクス君。話してくれてありがとう」
「僕に出来るのはここまでだ。後は君次第だよ」
「十分助かったよ」
「頑張ってね。応援しているよ」
「ありがとう。また困ったら頼らせてもらうね」
「うん。なんでも言ってくれて構わない」
「なんでも!? 本当に?」
「あはは。怖いな。何を頼まれちゃうんだい?」
「えっとね~♪ 思いついたら言うね♪」
「お手柔らかに頼むよ」
「にっしっし♪」
ナズナちゃんは社交辞令だなんて思わないんだぜい♪
「アルバお姉ちゃんもありがとう!!」
わ~~~! ぎゅっ!
「あっはっは♪ ハグならルクスにしておやりよ♪」
「アルバ姉!?」
「う~ん♪ また今度♪」
「あらま♪ 残念だったねルクス♪」
「べ、別に……くっ……」
あら? 残念がってる? でもほら。今ハグしてもさ。どうせ無敵バリアが邪魔してくるしさ。
それはそれで、ルクス君もガッカリしちゃうでしょ?
先ずはこっちをなんとかしないとね♪
てなわけで♪ 今後のナズナちゃんに乞うご期待♪




