来訪者、来たり 7
「寝食をする為には必ず休む場所がいる。だが、移動に移動を重ねて休む場を変えるよりも環境が整った固定された地で安全に住み暮らした方が何かと便利だと思うだろう?今の俺たちより遥か以前の先人達は、放浪の末にそうした結論にたどり着きこの地にそれぞれ自らのすみかを作ったのだが…規制や、統治そのものが無い時代だ。時々自分と他人のものを間違えたりまたは他者によって荒らされるなどの問題点が起きてな。そこで考え出されたのが『魔力による所有と空間の固定化』という目に見える案だったわけだ」
「まりょくによるしょゆうとくうかんのこていか…?って、なんですか?」
「要は、今使用しているこの場所に魔力を帯びた建物があったとしたら使用者が当然その場にいて、魔力の持ち主が許可しない限り空間を他者に開放することは無いと一目で分かるようにした仕組みという事だ。この世界では幸いにして皆魔力を感知できるし、力の強い者は目で見えることもある。先人達はその性質を利用し活用したらしい」
「へぇ〜!」
キタキタ異世界のなにコレルール!!!
建物に魔力を帯びさせて所有権主張アンド防犯って、地球じゃ出来もしないものだもの!わっくわくしちゃうよね!!
……あれ?でも、私この世界の住人になったけど分からなかったし見えていなかったような…?
「………あの、サイラスさん。わたしさっきのこやでマリョクがわからなかったしみえなかったきもするのですが……」
「うん?…ぁあ、心配しなくていい。それはきっと創世神のベールがまだ掛けられたままの状態だからだろう。これから人族の地で祈り場に行けば、制限は自然と外れる」
「ん?…あの、メガミサマのベールってなんですか??」
「……あ、ああ、すまん!忘れていた。この世界では生まれたばかりの人族には魔力というものは些か負荷が強すぎる、と皆幼い頃に教えられる。その為、ある一定の安定した基本の体が出来上がるまでは創世神による加護と言われている薄い膜を纏ってある一定期間を俺たちは過ごすんだ。その膜を、先人達は創世神のベールと例えたらしい。膜は未熟な体にも害は無いそうだと過去の研究者が明らかにしている」
「へぇええええ〜!サイラスさんはみたことはあるんですか?」
「いや、まだないな。その膜は生まれた瞬間でないと目にできないようだから、今までそういった機会に巡り会うことも無く。子どもが生まれた祝いも当人達が落ち着いてからの事だし…まぁ、そうだな。この先も当分機会は無いだろう」
「ふーん、そっか〜」
ちょこっと考え込んだサイラスさんは友人の事でも思い浮かべていたのだろうか。やけに後半キッパリと宣言をしていたので、そこまでご友人(仮)さんに見込みがないと見ているのかと思ったら、ご友人(仮)さんに同情したくなってしまった。
サイラスさん、友達は大事にしてね。




