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獣魔と楽しい異世界ライフ〜女神様の愛をもらったら過保護な人達も集まりました〜  作者: 空花りん


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来訪者、来たり 3

(まぁ、そんなに焦っても仕方がないとは思うけど…。どっちも今日知り合った者同士、仲良くなるにはまだまだ時間がかかるものだもんね。これからたくさんお互いに交流して中身を知ってもらって、どちらともなく仲良くなっていってくれたらいいんだけどなぁ…)



ちょっぴりしゅんとしながらもこれからの事を思う傍ら、脳裏に思い浮かんだのは「お前やるな!」「へっ、そっちこそ!」と言ったセリフ回しが似合うケンカ後に皆が寝転がってやけに爽やかに語るシーンで、一瞬「良き…」とは思ったものの理性が“いやいやそれはちょっと夢を見過ぎでは?”とツッコミを入れてきたので、やむ無く浮かんだイメージは私の妄想という形で幕を閉じざるを得なかった。



(……うん、まぁそこまでは無いよね)



自分のたくましい想像力に私の頭の中はお花畑か!?と生温い笑みで自らに突っ込んだのだが、私自身兄弟がいたわけではなく近所のお兄さんが兄的役割で親しくしてくれていたので、どうも兄弟間での激しいケンカと言われてもピンと来ないどころかその兄とはケンカすら経験したことも無いので、想像するにも漫画の受け売りでイメージを借りるしか手段が見当たらず、結果、先程の妄想に繋がるといった訳で…。



(……地球で、少しは兄妹喧嘩の一つでもしておけば良かった…)



前世での穏やかな人生に少しだけ物足りなさが浮かんだとは言えず、振り切るように今世は初めての事には何事も経験してみようと前向きに思うのだった。



(それにしても、兄弟同士のケンカか…。そういえばキラとハクロウは仲良しだけどよくケンカしてるし、二匹みたいな感じが兄弟喧嘩なのかなぁ)



年齢もそこまで離れているわけではない二匹だがハクロウの方が最初に我が家に来た為キラが弟分に当たるのだが、身近に思い当たる例が思い付かなかったためついつい二匹に当てはめてちらと見てしまい、どちらにもただただ嬉しそうに首を傾げられてどうしたの?と言わんばかりに見つめられてしまった為「なんでもない」とこの話しは打ち切ることにしたのだった。



(ああああ、うちの子可愛い!天使バンザイ!!…っじゃなくて、それよりも今は大事な“情報”についてサイラスさんに話しを聞かなくちゃ!さっきから口ごもる理由についてもワケを聞きたいけど、サイラスさん、話してくれるかな…?)



今まで多少事情については明瞭に説明をしてきちんと答えてもくれたけれど、まだまだ詳細には至っていない上にこと身の危険に迫ることに関しては頑として強硬な態度に出るサイラスさんの事だ。今回これ程までに言葉に出さないと言う事は、説明しようかしまいか悩んでくれている部分がだいぶ大きいのだろうと態度で分かってしまう。

初めて出会った時からもそうだが、こんな得たいの知れない子供にも真剣に言葉を選んでくれている彼だからこそ私も信頼しているし、何ならその大きな理由も受け止めたいと思っているとは微塵も分かっていなさそうな気配だ。

いまだに考え込んでいるサイラスさんにしょうがないなぁと苦笑がこぼれた私は、存外押しと子どもに弱い心配性の彼へと多少強引にでも口を開くキッカケとなるように、丸太の上からよいしゅと降り立ちとことこと近寄ると、眉間にシワを寄せて考え込むサイラスさんの服をくいくいと引っ張り意識をこちらへと向けさせるのだった。

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