78.報連相
「セージに話しかけられた!?」
「ええ、一人でいるときに。最近キヨ君とレオ君が話しかけてくる理由は何かと聞かれたの。」
セージと会話したことを私は勉強会メンバーに話した。
「あの二人はあなたからの差し金か」と言われたことはばらさず、それ以外のことは出来るだけ詳しく彼らに話した。
なぜかって?
嘘に嘘を重ねればいつか綻びが出てくる物だし、彼らにはセージについて推理してほしいから出来るだけ多くの情報を明け渡す。
「僕たちにではなく普段一緒にいることの多いハイバに話しかけるとは…」
レオは卑怯者めとでも言いだしそうな雰囲気だ。
彼からすれば話しかけた本人ではなく、自分たちに近しい女子 弱い者 に話しかけたことを非難している。
「それで私、たぶん異能をかけられそうになったから咄嗟に対策をしているのでセージ君の異能は聞きませんよって言っちゃって。」
つまりは私がセージの異能を知っていると彼に言ってしまったという意味だ。
「対策って?」
モモは不思議そうに聞いたが、そんなものはない。だから首を横に振った。
「魔力なのかな?なんか体中に巻き付いたのが気持ち悪くて、兎に角やめて欲しいから使っても無駄だと言っただけです。」
そう答えればレオたちも頷く。
「それは仕方がなかったことだ。これでハイバが操られ僕たちのところに来て情報を得ようとした可能性もあった。それがなくなった分、その判断は正しい。」
そう告げたレオを単純にすごいなと私は思う。
仲間を思っての発言だったとしてもそれは優しさであるし、
感情に流されることなく、表面上の情報だけでこちら側を非難することない。
のちの状況を予測し冷静に判断したという可能性もある。
どちらにしてもレオは13歳には思えないスペックを持っていると改めて感心した。
そう改めて思い返せば、本来アカヤも賢いキャラクターだったはずだ。
もちろん主人公として好奇心が上回り、褒められない行動も多かったが今ほど幼くはなかった。そしてそれに反するようにモモは原作以上に冷静だ。成績だっていい。
それはこの勉強会が関係しているのだとしても、少しばかりおかしなことになり始めている気がする。
主人公たちの冒険がなくなった分の時間、モモもキヨも勉強会に参加。
それが成績であったり、魔力のコントロール、現在起きていることの状況把握に繋がっているのかもしれないが、二学期に入り二人はまったくアカヤと行動をしていない。
「それで、それについては何と言っていた?」
レオの言葉で意識が浮上する。
「…確か、知っているのは誰や?って関西弁でした。それから知っている人が少人数だと異能をつかれる恐れがあったから、先生たちにセージ君の異能は何かを聞かれて違和感を覚えたから気づいた、先生たちが他の生徒にも聞いていれば私たち以外もその能力に思い当たるんじゃないかみたいなことで濁したんですけど…」
私たちだけが知っている、それならばこの5人だけを洗脳すればいい。そう思われないために不特定多数いることをほのめかした。
「いいと思う。それなら誰が知っているか分からないし、全員を洗脳する気でもなければ防波堤になる、よね?」
そうキヨはレオを見た。
その様子は原作で言う所のアカヤとキヨの関係にも見えた。
ただ原作よりもキヨは自分の意見を持っているし、依存するほど寄りかかっているようには見えない。
「(いい傾向よね?)」
「ああ、それに『記憶操作』『精神干渉』それらの直接な単語は言わなかったのもよかった。もし間違っていた場合、何をされるか分からなかったしな。」
セージの能力は知っている。
それでも口にしなかったのはこの場の面々がセージの能力を断定していなかったからだ。
「(情報も同じラインに立っていないと。)」
後々面倒になる可能性がある。
「それで普通に帰されたの?」
スミレちゃんの疑問ももっともだ。
そんな状況、普通ならば相手に何らかの枷を与え中れば逃がしはしないだろう。
「今回のことを先生に報告するかと聞かれたから、私に何をしても意味がないと思わせるために目的が何かは知らないが、私が巻き込まれなければ私も目をつぶりますと。すでに先生たちは能力を知っているとセージ君は思っているでしょうから。」
そう答えれば「なら先生には僕から伝えておこう。」とレオは名乗り出てくれた。




