73.白日の下
モモを慰めつつこれからのことを話していく中、私はメンバーは違うものの物語の中で異界開門の謎を追っていたシーンを思い出していた。
台詞や状況が違う。
それでも真剣に見えない謎を追う様はまるで物語の主人公だ。
片や本物の主人公は昨晩の罰則による奉仕活動として学園中の清掃活動を行っている。
この中に魔道具の手入れなんかもあればアカヤも喜びそうなものの、喜ばせる気はもちろんないようで、あくまで教室やその他備品の掃除をしばらくの間続けるようにと言われているそうだ。
「(原作では見つからないように上手くやってたけど。)」
こうも物事がうまく運ばなかったのは主人公組が揃っていなかったからなのか、どうにもアカヤの最近の行動は目に余る。
やっていること自体は原作と同じにもかかわらずだ。
窓から校庭を眺め、分かりやすく苛立っているアカヤはトンボを投げ捨て掃除をボイコットするようだった。
「(あんなに幼かったかしら?)」
感情のままに行動しているアカヤは私が知っている彼よりもはるかに幼く見えた。
「(成功がないと成長しない?主人公としての活躍が本来のアカヤを構成していた?)」
彼にするはずの冒険は代わりに私たちが受け継いでいる。
その結果が今のアカヤだとしたら、それはそれで仕方がないだろう。
私には関係ない。
元からアカヤとはあまり関係を結びたくなかったのだから結果オーライだろう。
*
それから数日して三井先生が私たちの勉強会に尋ねてきた。
あの日からこの勉強会は5人全員が集まるようになり、勉強会とは名ばかりでほとんどはセージ報告会の場となっていた。
「(試験と言ってもレベルチェックのようなものだし、今更やることはないわね。)」
「結城妹の予知夢の件は教師陣全員で共有することにした。その上でいくつか聞きたいことがある。」
改まって先生は言った。
あの日モモが見た夢の正確な情報と私たちの見解。
私たちから見たセージについて、学園内での違和感。
あの日盗まれたのは生徒名簿で、異界に関した情報はなかった。
そしてセージに異能は発現していないのにもかかわらず、セージは異能ありとチェックが入っていた。
つまり教師陣もすでにセージの洗脳にかかっていた事実を隠すことなく三井先生は話した。
私たちに何かしてほしいわけではなく、あくまで教師陣でこの件について調べるものの、これから先、何か気づいたときにはすぐに知らせるようにと言われ、私たちは素直に頷いた。
自分たちが調べます何てアカヤなようなことは言わなかった。
*
「つまりセージの異能は記憶改変のたぐいと言うことがはっきりした。」
レオの言葉に知っていた私も頷く。
三井先生の誰もその能力を知らないセージの異能がすでにチェックが入っていた。
それは異界開門とイコールにはならないが、明らかに何かをしていると言うことの証明だ。
「僕は必要以上にセージに近づくのは反対だ。ただ知っていてそれをなかったことにはで
きない。」
レオの予想外の発言に同意したのは流石主人公組、モモとキヨだった。
「でも、先生たちまで洗脳されているんだよ?危ないよ!」
これはスミレちゃんの発言で私はそれに同意する。
セージの能力を先生たちが知ることとなれば私の目的は達成されたも同然。
もちろんすべてがうまくいくとは思わないし、他にも手はかが得ておかなくてはいけないけれど、レオたちが直接セージに干渉するのは同意できかねた。
「レオ君には何か策があるんですか?」
無防備に今のセージに近づくことは危険だ。
レオは一体何を考えているのか私は聞いた。




