71.先生を選択
「先生に、相談する?」
キヨの言葉は原作では真逆の選択をしたアカヤとは違い現実的だ。
「先生たちは全員、異界について知っているのでしょうか?」
これは設楽先生をはずしてもらうための発言だった。
「流石に知ってはいると思うが、そうか、三浦先生と設楽先生は年齢的に事件にあっていないのか。」
私の思惑通り、レオは先生たちの年齢に気づいてくれた。
「火神先生は分からないが、三井先生と花村先生は俺の父の後輩にあたる。」
だから事件を知っているはずだとレオは言うが、結実とレオのお父さんが同い年ならば火神先生は二つ上に先輩のはず。
「(まぁ、二つ上なら属性が同じでもないかぎり覚えてないか。)」
まして火神先生は自己主張が小さそうだしととりあえず流す。
とりあえずは、まだ黒幕説が消えていない設楽先生を警戒するに越したことはないだろう。
「花村先生は木属性だが、セージと近い方がいいのか、近くない方がいいのか。」
その危惧に私は安心感を覚えほっとする。
セージの一件で彼がただの13歳と知った。そしていま相談している彼らもまた同じ13歳。
この相談が無駄になるのではないかと不安はあった。
でもセージを調べるうえで、それに近い人物が良いか悪いか、そう考えられる頭がレオにはあった。
見下しているわけではないが、読者だったころはセージの存在が得体のしれない存在で、だからこそあれほどまで大きな事件を起こしたと勝手に思っていた。
蓋を開けてみればそのすべては子供じみた理由と子供特有の残酷さ、おそらくは後先を考えない行動の末の惨事だったようで、私はひどく失望とした。
ただ被害の大きさに違いはなく、防げるのならば防ぐべき案件だ。
その相談を彼らにすることは正しいのか。
正解は分からないが、すぐに結論付けないだけの慎重さはあったのだ。
*
結果として三井先生に相談することになったのはレオが自身の属性担当である先生を信頼できると太鼓判を押したからで、私たちはそれに従うこととした。
事件を知っているか分からない三浦先生と設楽先生ため選択肢から外れた先生。
誰も花村先生の属性担当ではないため、どんな先生か分からないことも理由の一つだ。
ぞろぞろと職員室に行くのは目立つため、放課後の勉強会で少し指導を貰うという体でいつもの教室に来てもらうこととし、私とモモで呼びに行くことになった。
三井先生を連れ、戻る途中アカヤに遭遇し何か隠し事はないかとしきりにモモに聞いていた。
これは双子特有の何か直感的なものなのだろうか?
それは分からなかったが、いつまでもついてくるアカヤに
「予知夢でまた職員室に泥棒が入るかもしれない夢を見たから先生に言いに来たの!」
と嘘でごまかしたモモに、アカヤは三井先生がいるにもかかわらず「なんで先生に相談するんだよ!」と怒った。
「(いや、普通先生に言うだろ?)」
アカヤは自分が解決するとばかりに意気込み、それを三井先生に注意され一目散に逃げていった。
その晩、アカヤが再び職員室に侵入するとはさすがに思いもしなかったがそのおかげで周りの目はアカヤに向かい、セージの目が私たちに向くことは多分なかった。




