70.異能とクラス
「そんな惨劇の中笑っていたのだというのだから、僕はクロだと思う。」
そもそもセージは犯人なのか、その疑問にレオはきっぱりと言い切った。
影響力のある人がこうもはっきりと言ってくれるのはとてもありがたい。
「僕は一学期に盗まれたものが異界の資料で、それを使いセージは異界を開いた。理由は単純にその資料を見てやってみたくなったのか、誰かに強い恨みがあったのか、前の犯人に何らかの共感を覚えたのか…」
いくつかレオが可能性を上げてくれたが、
「(はずれ。)」
盗まれたものも、異界を開く理由もはずれだ。
「(けど…)」
レオの言うように盗まれたものが異界関係の資料の方が辻褄は合うのだ。
「(セージはどこで異界のことを知って、どうやって門を開いたのか。)」
この謎が私には分からなくてモモの予知夢に託したのだ。
「そもそもセージの異能って何なんだろ?」
モモがふと声を上げて私たちに問いかけた。
「一学期の段階ではまだ発現していなかったはずです。」
私はそれに答え目線だけで皆を見れば、彼らも覚えているようで頷いた。
「異界がそれくらいやばいものか分からないけど、少なくともAクラス以上、異能がつかえるレベルじゃないと空間を繋げるなんて大技できないよね?」
あくまで想像だけどとモモはレオに聞いた。
ここにいる面々は全員が異能を使えているから、成績さえ上位であればAクラス入りは決まったようなものだった。
AかS。魔力量の差で決まるだろうが上位クラスになるだろうと互いを認識していた。
その中にセージはいなかったのだ。
「Sクラス並みの魔力量で異能なしってありえるのかな?」
今度はスミレちゃんがレオに聞いた。
「聞いたことがないな。異能があり、コントロールが上手くいかずAクラスに入れないものは聞いたことがあるが、逆は僕が知る限り聞いたことがない。」
この発言で皆はセージの異能について話合い始めた。
木属性、普段の基礎魔法の得意下手など単純に自分以外のことに注視していないから覚えていないのか、そんな細かいところまでセージが能力を使っていたのかはわかないが折角なので`覚えていない‘事実を使わせてもらうことにした。
「異能があっても悟らせない。ここに木属性の人がいないとはいえ最初は一緒に授業を受けていたはずだし、それを覚えていないとなると…」
決定打は口にしなかった。
私がセージの異能に気づいた人物だと印象付けたくなかったからだ。
「意識洗脳…?」
ぼそっとキヨはつぶやき、その言葉に私たちの視線を集めることになった。
「そうと決まったわけではないが、洗脳系の能力は前例もあるし能力者はそれを隠そうとする。ありえない話ではない。」
と、難しい顔でレオが後押ししてくれたから私も神妙な顔で頷いた。
「それって私たちだけでどうにかできるかな?」
モモの声に部屋には沈黙が下りた。




