*自分と似た少女
キヨにとってハイバという少女の第一印象は少しばかり大人びた普通の子。
普通の家で育ち、普通に両親から愛されて育った、そんな子に見えた。
そうでなければ、あれほどまでに穏やかに笑っていられるはずがない。
そんな彼女が自分と同じく天涯孤独の存在だと知ったのは学園に入学して随分とたってからだ。
元から彼女は自分の名前を『呪われた名前』と呼び、もしかしたら家族仲があまりよくないのかと思われていたが、生まれたときから施設育ちの彼女の名を付けたのはその場所の人。
そして詳しくは教えてはくれなかったが、先生との会話で彼女を『保護』したと言い、夏休みの間も寮に残るという境遇から彼女は施設で虐げられていたのではないかという仮説を立てたのはレオだった。
彼女が天涯孤独であると勉強会で話したことをスミレは後になって後悔していた。
口止めの意味も含めレオとキヨにその話をし、三人で先生の元へと聞きに行ったのだ。
『あー、ハイバはちと特殊な環境で育ってな。本人が隠していないからあれだけど、魔力を持っていたから施設に捨てられたみたいだ。』
その言葉をきいてスミレは自分と似ていると感じた。
自分とは違い、物心がつく前に家族に見放されたようだったがスミレもレオと出会うことがなければいずれ同じことになったかもしれないと、自分の幸運さに気づいた。
キヨは自分と似ていると思ったが、ハイバの方が酷な環境にいたことを知り先日のアカヤの発言で愚痴をこぼした自分があまりにも幼かったと恥ずかしくなった。
少なくとも自分には愛してくれた祖父母がいたし、虐げられたことは一度だってなかった。
レオは自身の想像の中で壮絶な環境で育ったハイバを痛ましく思う他にできることがなかった。
自分は恵まれている。
両親は自分と同じく魔力を持っているため理解があり、人もよく息子である自分に惜しみなく愛情を注いでくれた。
金銭的にも恵まれ、これと言った不便を生きてきて感じたことは一度もない。
そしてそれを当たり前の日常だと認識していた。
そうでないと気づいたのはスミレに出会ってからだ。
世の中には様々な環境に生まれ、そこで生きていけない厳しい現実があった。
自分が恥ずかしい、そうは思わなかったが自分が勉強やスポーツが人よりも抜きん出て出来ることはそうできる環境で育ったからだと理解し、今まで以上に己を律しようと決めた。




