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私と神様は相性が悪い  作者: 壱花
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50.休息



夏休みに入る日、寮生たちのほとんどは帰省のため大きな荷物を背負い家路へとつく。

最後まで帰りたくないと喚くアカヤを諭しながらも、その目が段々と冷えてくキヨの存在にアカヤは最後まで気づかなかった。


「静かになったね。」何てキヨと話しながら寮へと帰っていく。

「何かあれば声をかけてね。」と言って、男子寮女子寮それぞれの方へと足を進める。

これで約四十日間、晴れて自由の身に慣れたことが想像以上に嬉しい。


大学生の頃はいまよりもっと休みは長かったが、何だかんだ課題などでやることは多く完全に自由とは言いづらかった。

きっと社会に出ればもっとこの休みが尊くなるのだろう。

私は色んな意味で最後になるかもしれないこの長期休みを満喫するつもりだ。

もちろん、ただ遊ぶという意味ではない。


「(せっかく物語の世界に来たんだもの、もっといろいろやってみなくちゃ。)」


もちろん死にたくないという気持もある。

その意味で魔法の研究もしなくてはいけないが、それ以上に好奇心から色々調べて回りたいのだ。


「(この四か月は色々とまる暇がなかったし。)」


新しい人生

新しい環境

新しい能力

新しい事実


全部が突然始まった。


縛りのこともあって、いつでも好きな時に何かを考えこむと言うこともできなかった。


新しい命に不満はない。

死んでいたはずの私にもう一度人生を与えてくれたことはありがたいことだと思っている。


「(ただ良い子になるためにやり直しっていうのが気に食わないけど。)」


その目的は私の望んだものではなく、常に私の思考の邪魔をする。

でも今は人の目もほとんどない。

仮に考え込んで倒れたとしても面倒にはならない。


だったら


「(少しぐらい好き勝手に生きてもいいだろう。)」







事件とは関係なく、単純にこの世界における魔法について私にはたくさんの疑問があった。

原作やファンブックでは語られないその裏側、私はそれらを見ることができる状況に今いるのだ。


例えば水属性のモモの異能がなぜ予知夢なのかという謎。

もちろん属性と異能が関係ない場合もあるのかもしれないが、その辺についても物語で語られることはなく、授業でも習わなかった。

異能はあくまで基本魔法の他に仕える個人のプラスα的な位置づけなのか、それぞれを深くは掘り下げない様だ。


「(水属性だから予知夢なのか、水属性における特殊な力をモモは他に仕える可能性はあるのか?とか、上げればきりはない。)」


原作と変わったキヨの異能についてもだ。

未来には無限の可能性があるなんて言ってしまえばそれまでだが、今のキヨは以前の異能を使うことが可能なのか。そもそも異能は一人一つが当たり前なのか。


単純に基礎魔法のように指針がないため生み出し、使いこなすことが難しいからとして、なぜ先人たちの異能が教材として残っていないのか。


「(結実の前例があるからすべて処分又は厳重に保管されている?それとも初めから残す気はない?)」


人口の割合からして魔法使いを隠す理由は分かる。

それでも後続を育てるための情報が十分ないところを見て私は何となく、上の人なのか昔の人なのかは分からないが、この世界から魔法を絶やそうとしているのではないだろうかと漠然的に思った。




ベッドの上で寝ころびながらそんなことを考えていれば、いつの間にかクー・シーが隣にいた。


「おかえりなさい。」


この子のことは隠して後でばれても困るから夏休み中に生まれたことして、のちに報告する予定だ。

もちろんその能力については言わない。


「ありがとう。上手にできた?」


私はきちんとそれを持ち帰ってきたクー・シーの頭をなでながらドキドキする。

それはこの子が恐いのではなく、その口にくわえている存在の中身と取ってきた相手がそれに気づいたかどうかが気になるからだ。


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