49.通知表
夏休み直前だったこともあり誰もが浮き足立っていた中、三浦先生は今学期の総評なのか一人一人に言葉をかけた。
普通の学校であるような通知表がない代わりの物なのかもしれないが、相変わらず個別ではなくクラスメイトの前でと言うことに私は若干の疑問を覚えるものの、そうすることで切磋琢磨して欲しい願いでもあるのだろうか、または作者の国ではこれが普通で設定上はこれが当間だったのかと私は首をひねる。
「最後に。」
そう前置きをした先生は少しばかり呆れたように言った。
「異能の開発も大事だけど、いつも魔力の感知には気を配れって言ってるだろ?いついかなる時に何が起きるか分からないのが魔法界だ。それに魔力を読み取ろうとすることは魔力の質を上げる。俺たち教師陣はこの一か月、魔力を隠さずにお前たちの後を付けて回ったんだが、気づいたのは七人だけだったぞ!」
そう言って先生は私たちとアオイ君とセージの名前を上げた。
気配の元にたどり着いた私たちに先生は何も言わなかった。ただ「よしよし、これからも励めよ。」と激励の言葉だけで詳しくは何も教えてくれない。
私たちもこれが九月の試験に関係している可能性もあり深く追求はしなかった。
「(レベルの査定ではなく、試験そのものだったのか…)」
色々悩まされた気配だったが、蓋を開けてみればなんてことはなかった。
「お前俺の使い魔だろ!気づけよ!」
なんて後ろの方でアカヤの叫んでいる声が聞こえる。
魔力量はキヨに次いで大きいはずのアカヤが気づけなかったことを不思議に思う反面、モモは双子の兄弟にこのことを本当に伝えていなかったのだと知った。
今も昔も私に兄弟がいたことはなく、兄弟というものはもちろん双子の感覚なんて全く分からないが、そういうこともなんとなく感覚で知れるものなのかなと思っていただけに拍子抜けだ。
「(モモが知っていたかはともかく、先生の気配ぐらいならアカヤも気づいているかと思ったけど…)」
野生の勘とやらは迷信なのか、なんて考えてすぐそれはモモの方だと気づいた。
異能が予知夢であるモモは超直感に優れているのだろう。
原作で事件の真相の手がかりなどを手にしたのがアカヤだったから気づかなかったが、声もまた舞台裏の設定なのか、それらのきっかけになったのはもしかしたらモモの功績が大きいのかもしれない。
その証拠に今のアカヤにはあまり運が味方をしていない。
「(この分だと過去の事件のこともまだ知らないわね。)」
兎にも角にも今、私には追い風が吹いている。
「(ある程度の方向性はこの休みのうちに。)」
ケットシーのお披露目は夏安直前の授業だったためさほど注目は集めなかった。
すでに使い魔っぽいアカヤの能力もあったし、今だ能力の開花しないものは焦り、人のことよりも自身の異能の発現をと頭を抱え、すでに力を持ったものはその力を磨く最後の授業ということで集中している。
誰もが自分のことに必死だ。




